オリックスの「ぶれない軸」 斬新な取り組みが生まれ続ける理由とは
選手たちの協力も得て実現
すでに昨年から計画されていたこの取り組みは、ユニフォームを「服」としてファンが普段の生活に取り入れてくれることを目指す。爽やかな「オリ達」と「オリ姫」、そして可愛らしい「オリっ子」(今年からオリックスファンのキッズへの愛称)にはチェック柄の帽子を配布することでそれぞれを具現化する。球場に到着してからユニフォームに着替えるのではなく、恥ずかしさのない「服」としてオリックスを生活の一部に取り入れることを目標とする。
プロ野球選手にとってユニフォームは仕事着であり、正装だ。このアイデアは選手たちの協力無くしては実現できなかった。スポーツ界ではよく現場とビジネス側で意見が分かれてしまうことが多いと言われるが、このアイデアは双方が他ではやっていない斬新な取り組みを共有できたからこそ実現に至った。
それでも最初から全てがうまくいっていたわけではなく、球団の努力無くしてはここまで実現することは難しかった。過去には、現場と意見共有をせずに反感を買ったこともあったという。失敗経験から学び、今は企画段階からサンプリングを共有することで、選手たちを巻き込んでいる。企画の過程段階から選手と共にデザインの話し合いを行っている。おしゃれな選手たちも多く、意外にもそこからアイデアが生まれてくることもある。
そしてオリックスのもう1つのファンへの楽しませ方は、ハードの特性を生かしたイベントだ。毎年、もしくは毎試合変えることのできるソフトの面とは違って、減価償却の割に合わず通常3年で飽きられてしまうのが、ハードの部分だ。新球場が完成直後に人を惹きつけることを米国でも「ハネムーン・エフェクト」と言われている。このハードの改修をし続ける難しさはあるものの、室内・屋外の両方をホームと呼べる利点をオリックスは球界で唯一持ち合わせ、それぞれの特性を生かしてファンを楽しませる取り組みを企画している。
日本プロ野球界初のペット専用ファンクラブ「Bsわんにゃんクラブ」もその取り組みのうちの1つだ。