柳田悠岐の鋭いゴロをアウトに ロッテが採用した「柳田シフト」に迫る

「柳田シフト」を採用し、ゴロアウト率を高めよ

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柳田悠岐(ソフトバンク)のゴロに関するデータ

 柳田はホームランを30本以上打つにもかかわらず、非常にゴロが多い打者である。また野手の間を簡単に抜いてしまう打球の速さに加え、平凡な内野ゴロをセーフにしてしまう一塁到達のスピードも兼ね備えている。

 三振が極端に少ないコンタクトヒッターでないにもかかわらず、昨季.363もの高打率を記録した背景には、普通の打者ならアウトになる確率の高いゴロを、打球の速さと俊足で安打にしてしまうゴロアウト率の低さがあった。運の影響が大きく、長期的には普通の打者は3割前後で推移するBABIP(Batting Average on Balls In Play:本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合)が3年連続4割前後の数字になっているのもこの影響が大きいと思われる。

 今季、開幕から成績が伸びずに苦しんでいた原因は、ゴロアウト率の高さにあった。ただでさえゴロが多い柳田である。これだけのアウト率となると成績が低下するのも当然だ。現状の数字は相当に不運としかいいようがなく、今後数字は回復していくだろう。ただその中でも対戦球団はこの数字を高く維持していかなければならない。そのための戦術が「柳田シフト」である。

 守備シフトはなにも柳田ほどの強打者だけにとられるべきものではない。引っ張り傾向の強い打者に対するときは考慮すべきだ。

 現状、日本球界には左のプルヒッターが少なく、例として挙げられる選手は少ないが、巨人の阿部慎之助は引っ張り傾向が非常に強い。またスピードに欠けるため内野手は深い守備位置をとることができる。シフト採用を推薦したい打者だ。

 右打者では阪神のマット・ヘイグ、楽天のジョニー・ゴームズ、ヤクルトの山田哲人らに非常に強い引っ張り傾向がでている。極端とは言わずとも多少のポジショニングの変化は見せてもいいはずだ。

DELTA プロフィール

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~4』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。最新刊『セイバーメトリクス・リポート5』を2016年5月25日に発売予定。集計・算出したスタッツなどを公開する『1.02 – DELTA Inc.』(http://1point02.jp/)もシーズン開幕より稼働中。

【了】

DELTA●文 text by DELTA

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