井口資仁が監督の若手“喝”直後に取った行動 最年長野手が担う貴重な役割
なぜ若手を誘おうと思ったのか、想起される自身の経験
「オレも監督と同じように感じていた。若い選手たちが結果を気にし過ぎていて消極的になっているとね。彼らをなんとかしてあげたい。その思いだけ。食事に連れて行くことで、いろいろなことを伝えることができればと思ってね。なにかヒントになるような話ができればと思った」
もちろん、ロッカーやベンチでアドバイスをすることもある。でも、食事をしながら、じっくりと話をすることが大事だと自身の過去の経験から知っている。だから、若手たちを誘い、食事にでかけることが多い。このときはおいしい牛タンに舌鼓を打ちながら、たわいもない会話もしながら、野球の話をした。じっくりと時間をかけることによって話せることもあるし、普段は遠慮をして質問できない若手を和ませることで自分たちから疑問に思うことを積極的に話してもらえる雰囲気作りを大事にしている。
「若い子たちに成功してほしい。今、彼らに足りないのは引き出しの数かな。自分はそれを増やしてあげる手助けができればと考えている」
井口もまた若い頃、同じ経験をした。何度も壁にぶち当たった。そのたびに福岡ダイエーのスター選手であった秋山幸二氏、小久保裕紀氏などに声を掛けられ、食事を共にすることでいろいろな話を聞いて勉強をし、成長をした。そして野球における引き出しを増やし、いろいろな状況に対応できるようになった。その経験があるからこそ、今、若手と一緒に過ごす時間を大切にしている。積極的に話しかけたり、相談に乗ったりする。時には冗談を言って、和ませることもある。
「今の自分の役割はプレーだけではない。このチームは若い選手が多い。自分が教えたり、なにかプレーをする上でのヒントを与えたりすることができればと思っている。それに今の自分が選手の誰よりも監督と年が近いからね」