井口資仁が監督の若手“喝”直後に取った行動 最年長野手が担う貴重な役割

新たなる境地を探求、「ベンチで見ていると発見をすることが多い」

 今年はベンチで待機し、ここ一番の勝負の場面で出場することも増えた。5月14日の楽天戦(QVCマリン)。途中出場すると延長10回、4時間57分にも及んだ激戦にケリをつける左前へのサヨナラ打を放った。一打に賭ける集中力、駆け引き。今、井口は新たなる境地を探求している。

「ベンチで見ていると発見をすることが多い。いろいろと状況を見ながら、いろいろと自分なりに分析したり考えたりする。自分の出番を考えてみたり、相手がどこで投手交代をするのかを想定してみたりする。若手選手のことも見ているよ。

 結果が出なくてシュンとなって戻ってくる選手とか、明らかに悩んでいると分かる選手。しっかりと人間観察をすると、その辺は分かるようになる。そういうときは、なにげなく声を掛けてあげたり、時にはアドバイスをしたりもする」

 頼れるベテランが、若手の多い千葉ロッテにもたらす影響は並大抵のものではない。そんな井口にもルーキー時代があった。思えばデビュー試合も満塁本塁打。97年5月3日。第1打席でプロ初ヒットを放ち、迎えた第3打席。2死満塁で、フォークを捉えると打球は広い福岡ドームの左翼席に突き刺さった。デビュー戦でのプロ入り初本塁打が満塁本塁打となる快挙だった。

「実はアメリカでのプロ初本塁打も5月3日。今思うと5月3日は自分にとってすごい縁起のいい日となっている」

 新人当時から40歳を超えても現役で活躍することを目標の一つに掲げていた若者は今、チーム最年長選手、そしてプロ野球最年長野手として多くのファンを魅了し、輝きを放ち続けている。ペナントレースは8月に突入する。優勝争いは佳境に入り肉体と精神をすり減らすような日々が続く。その中で背番号「6」がいることは千葉ロッテにとって心強い。踏ん張りどころの真夏。井口がそのバットでチームを日本一に導く。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara

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