巨人・坂本、停滞から脱却か? 打者としての進化裏付ける大きな変化とは
来年以降の活躍も期待できることを示唆する“兆し”とは
3つの数字が示唆する坂本の変化を、打球の分布図からも見てみよう。
昨季(2015年)と今季(2016年)、坂本が放ったゴロを除く全飛球(フライ+ライナー)の「落下地点」「滞空時間」「結果」を図示したのが2つの図だ。
今季の分布図はシーズン途中のものであり、打球の合計数が異なるので少しわかりにくいが、赤い×印で示した滞空時間4.5秒以上をかけて捕球された飛球などが、打席に近い位置で減少している様子が見て取れる。
「滞空時間3秒以上の飛球(赤とオレンジのプロット)」について見たとき、図でグレーの地色を敷いたゾーンに飛んだ、「内野のやや後方までのゾーンに飛んだ」ものは、昨季は全体の31.1%、今季は17.6%と減少としている。内野に上がるポップフライは、間違いなく減っているようだ。
また遠くに飛ばしているだけでなく、飛球が安打になるケースも増えていた。昨季、滞空時間3秒以上を記録した飛球は196本あり、そのうち安打になったのは39本(19.9%)。今季は139本のうち45本(32.4%)が安打になっている。
坂本の飛球が「強く」「遠くへ」飛んでいることは、打球の分布状況からも見て取ることができる。
もちろん、このデータだけでは「内野フライにしてしまっていた球を、外野にまで運ぶことで安打が増えた」と言い切ることはできない。「内野フライの減少」と「外野へのフライの増加」という結果の互いの関係性までは確認できないからだ。
それでも、ポップフライが減り、外野への飛球が増えれば、安打、特に長打が生み出される可能性は高くなることが多く、悪くない傾向といえる。坂本の今季の好成績が1年限りのものに終わらず、来年以降も継続しそうであることを示唆する、ひとつの兆候ではある。