現役時代はうなされる夜も 「野球嫌い」の元日ハム選手が野球で得る「幸せ」
独立リーグから羽ばたく選手たち、「次に会った時、笑顔で会えるか考える」
「『アイツにああ言ったのはまずかったかな?』とか反省するし、『今度はアイツにああいうことをさせよう』とか考える。本当は野球は楽しくやるもんだけど、独立リーグは草野球とは違う。ワイワイやって、打ち上げだ!って飲み屋に行けばいいわけじゃないから。
目の前の敵を倒す勝負事。でも、今から現役時代を振り返ってみると、あの勝負のど真ん中にいた時の緊張感やワクワク感は楽しかったなって思う。特にNPBに行けば、何万人という大観衆の前で真剣勝負ができる。一般の人は味わえない感覚。勝負の瞬間は楽しいとは思わないんだけど、今になると楽しかったなぁって」
徳島に限らず、四国アイランドリーグでプレーする選手を1人でも多くNPBに輩出し、自分が味わった緊張感に触れてほしいと願う。その一方で、選手全員がNPBを目指しているわけではなく、野球選手という職業を諦めて一般社会に進む道へ方向転換する選手もいる。自主的に方向転換を選択する場合はいいが、時として、選手の意に反して監督が勧めなければならないこともある。
「ちょっと(プロが)難しいと思った選手には、早く野球を諦めさせるのも親心かなって思う。そりゃ、選手からしたら『何で?』って思うだろうけど、一般社会に出て次の生活を始めるには、遅いよりも早い方がいい。独立リーグはサラリーが安いから、親御さんにも支援してもらったり、ある程度の迷惑を掛けていると思うんですよ。
もちろん、言う方もキツイ。NPBに行くヤツには『よかったな、おめでとう』でいいけど、辞めた方がいいって告知するのは辛いですよ。何年か経って『あの時きっぱり野球を諦めたから、今につながっている』って思ってくれたらいいんだけどね。次に会った時、笑顔で会えるかな?ってことも考えますよ」