田中将大が3年目で飛躍遂げた要因 「防御率1.94」、数字が示す大きな違い
田中の輝きが増した後半戦
メジャー1年目の2013年、田中は力強いフォーシームとスプリットを中心とした投球で、開幕から14試合目まで11勝1敗、防御率1.99と圧巻の成績を残した。16試合連続でクオリティースタート(QS、6回以上を投げて自責3以下)もマーク。メジャーを席巻したが、一方でフォーシームをスタンドインされる場面も目立ち、5試合連続で被弾することもあった。さらに、7月には右肘靭帯部分断裂を負い、約2か月半の長期離脱を強いられた。
2年目はキャンプからツーシーム主体の投球に取り組んだが、昨年も24試合で25被弾と一発に泣くことは多かった。今季は31試合で浴びた本塁打は22本。下位打線までパワーのある打者がそろい、失投が命取りとなるメジャーリーグ。被本塁打数は、日本時代から考えると、まだまだ多く感じるが、大幅に改善したことは間違いない。ツーシーム主体で凡打に仕留めながら、勝負どころではスプリットやスライダーで三振を奪うスタイルで好投を続けた。9月15日のレッドソックス戦では、7回4安打1失点の好投で、日米通じて初の奪三振ゼロという“珍現象”もあった。
メジャー3年目にして、高い適応能力で結果を残し始めた田中。野口氏は「周りに96、97マイル(約155、156キロ)のフォーシームをバンバン投げる投手がいるから、田中としては『それと張り合っても……』というところではないでしょうか。そういうピッチングも出来るピッチャーだとは思いますけど、そうでなく抑える術があるならば、そっちを取るのもいいと思います」と話す。
そして、田中の投球がより輝きを増したのが後半戦。これに、驚異のルーキーとしてヤンキースファンを熱狂させたゲーリー・サンチェス捕手が貢献していることは間違いない。53試合で打率.299、20本塁打、42打点という圧倒的な打力が注目されたサンチェスだが、女房役として田中との相性は抜群だった。それまでレギュラー捕手だったブライアン・マッキャンとは、いったい何が違ったのか。野口氏は言う。