ファンが球団を強くする― 3年連続の年間指定席完売が示す広島連覇への道

広島の黄金期は続くか―

 25年ぶりにリーグを制した広島が、来季もペナントレースを席巻しそうだ。カープは本拠地・マツダスタジアムの年間指定席、約8000席が既存の顧客で完売する見込みとなり、新規の発売を行わないことを発表した。今年、シーズンシートで声援を送ったファンはそのまま契約を継続したことになる。果たせなかった日本一への夢を見に行くため、すでに気合十分である。

 思い出されるのが、2004年の新庄剛志氏の日本ハム移籍時の会見での発言。「札幌ドームを満員にする」と北海道移転1年目に宣言した。まだ日本ハムファンよりも巨人ファンが北海道に多かった時代。ファンを動員する野球、エンターテイメントを目指した。

 観客が多ければ多いほど、選手は恥ずかしいプレーはできない。それ以上に、自分の持っている力以上のものが発揮できる。そうして新庄氏が宣言した言葉は2006年に実現し、大観衆の前で日本一に輝いた。日本ハムはこのころから、ファンサービスや魅力ある球団づくりを根付かせて、今や北海道の人気を不動のものにしている。

 ファンの多さが経営にもプラスに働き、チームを強くする。広島は今年、本拠地で数々の名シーンを生み、チケットは入手困難になった。ファンの大声援が選手たちを後押し、優勝につながった。来年もその大きな声が後押しになる。しばらくは広島の黄金期が続くかもしれない。

RECOMMEND