3年連続Bクラス、監督交代、主将が初球宴出場…西武の2016年10大ニュース
エース岸は楽天にFA移籍
◯「コリジョンルール」に泣く
本塁での危険な接触を防ぐために今季から導入されたコリジョン(衝突)ルールが、勝敗に大きな影響を及ぼした試合がいくつかあった。1つ目は5月6日の日本ハム戦(西武プリンスドーム)。6回1死満塁、同点に追いつかれた場面で高橋光成が投げたフォークボールが暴投となり、三塁走者に続き、二塁走者も本塁へ突入した。その際、高橋光はこれまで通りに走者と相対する形で捕球体勢に入り、ベース上で交錯。一度は「アウト」と判定されたが、審判団によるビデオ検証の結果、「左足が本塁ベースにかかっている」と、コリジョンルールが適用され、走者生還となった。昨季までであれば、明らかにアウトのケースだけに、ルール改定の難しさを痛感した一戦となった。
6月14日の広島戦(マツダ)は、さらに痛恨だった。2-2の同点で迎えた9回裏2死一、二塁から、中前安打で二塁走者が一気に本塁へ。このクロスプレーが「アウト」の判定となったが、広島・緒方監督の抗議によりリプレー検証となった。結果、コリジョンルール適用で判定が覆り、一変してサヨナラ負けを喫することとなった。8カード連続負け越しなしと、少しずつ上昇し始めていたチームの流れが、この敗戦を機に14カード連続勝ち越しなしと、一気に降下していったのも、決して偶然ではないはず。それほど、チームにとって痛すぎる“判定負け”だった。
◯エース岸孝之がFA移籍
2013年オフの涌井秀章(現千葉ロッテ)、片岡治大(現巨人)に続き、またしても主軸選手がFAで他チームへと去って行った。特に岸は、チームの絶対的エースであり、安定感を欠く先発ローテーションの中で「勝利」が計算できる存在だっただけに、この損失は痛恨と言わざるをえない。岸の抜けた穴を、誰が、もしくはどのように埋めていけるかが、来季ライオンズの最大のポイントと言っても過言ではないだろう。
移籍先は地元・仙台の球団である楽天。苦渋の決断だったとはいえ、この上なくやりがいのある環境であることも間違いない。ライオンズには、岸に憧れ、目標としている若手投手が多数いる。早々に楽天のエースに君臨し、対西武戦では、そうした後輩投手たちと手に汗握る投手戦を繰り広げてくれることを、ぜひとも期待したい。
◯栗山巧が初のオールスター出場で本塁打
意外にも、プロ15年目にして初めてのオールスター出場。結果的には監督推薦枠での出場決定となったが、ファン投票でも、西武ファンがSNSなどで選出を後押し。ファンにとっても、また、5年連続キャプテンを務める「チームの顔」として球団にとっても念願叶っての夢の舞台出場となった。
その第1戦(福岡ヤフオクドーム)、7回から左翼守備で出場すると、打席が回ってきたのは9回だった。史上16人目となる、オールスター初打席初本塁打を記録し、敢闘賞にも輝いた。「プロ野球ファンが注目するところで結果が出せて、すごく嬉しかったです」と話すなど、栗山自身にとっても忘れ難い経験となった。