「嬉しかった」―ロッテ大嶺が見つけた、故郷・石垣島でキャンプを行う意義
大嶺が理解した意義と自身の役割
「去年はストレートが全然ダメだった。だから強いストレートを投げるフォームを探した。いろいろと考えた中でそれを投げることができた。シーズン中の自分とは全然違う。話にならないぐらいの差を感じる球を投げることができた」
その手応えを忘れたくなかった。だから12月も寒風吹き荒れるロッテ浦和球場のブルペンで投げ込んだ。1月も石垣島で体を作り上げた。少しばかりの気分転換ではやはり海に行った。潮干狩りをしてアサリを獲って、みそ汁に入れて食べた。それだけで網を広げて魚を釣った原点に戻れる気がした。
大きな励みがある。昨年12月、侍ジャパンU-12代表がアジア選手権で優勝をした。知人から「沖縄の子たちが何人もいる」と聞かされた。そしてそのうちの一人が石垣市内の小学校に通っていると教えてくれた。涙がこぼれそうになった。
「とても嬉しかったです。もしかしたら、自分たちがキャンプを張って、身近で練習を見せられたことで、少なからず、何かヒントになれたかもしれない。少しはあるかもなあと思いました。野球を頑張るキッカケになったかもしれない。そう思うと勇気が湧きました」
満天の空の下、自分がプロ野球選手を志した原点がこの時、ふと蘇った。石垣島キャンプは故郷である若き日の大嶺にとっては戸惑いの多い日々だったが、10年目を迎えた今は、ハッキリとその意義と自分の役割が理解できるようになった。
「今年は覚悟を持ってキャンプインから一年間、取り組んでいきたい。覚悟を持って、シーズンを戦いたい」
背番号は「11」から「30」に変更。昨年1勝に終わった悔しさを胸に覚悟のキャンプを迎える。故郷での10年目のキャンプ。節目の時、大好きな石垣の海に大嶺は誓う。大きなきっかけをここで掴み、大きな飛躍を遂げてみせる。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
【了】
マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara