ロッテ井口が考える、海外と日本の内野手の違い「技術以上にメンタルの差」
若手選手に掛ける言葉とは…「自分の長所が何かを見極めるのも、プロとしての仕事」
勝負をかけない日本人は、ややもすると平均的に育つ傾向にある。すべてが合格点だが、何か飛び抜けた特長がない。21年目を迎えるプロ生活で自らが学んだ経験も踏まえながら、若手選手にこんな声を掛けることもあるという。
「『守備でも走塁でも打撃でも、何か1個伸ばせば、それだけで1軍に行けるよ』って話はしますね。守備が上手ければ守備固め、打撃がよければ代打、足が速ければ代走で出られる。すべてが平均的だったら、ただの2軍選手で終わってしまう。自分の長所が何かを見極めるのも、プロとしての仕事ですよね」
中でも、若手選手が無駄にしていると感じる能力が「足」だという。
「すごく足の速い選手がいっぱいいるのに、走らない選手が多い。走れる時に走らないと。年を取ると、どうしてもスピードは落ちてくる。走れる期間は決まっているから、気が付いた時には野球人生は終わってしまいます。チーム方針もあるけれど、自分でアピールできていない部分も多いでしょうね。本当に走りたいんだったら、自分から『走らせてください』って伝えればいい。サインが出ないのは『お前に任せる』って言われるまでの信頼を勝ち取っていかないから。そこは貪欲になっていいと思います」
2005年から4年プレーしたメジャーでは、個々の選手が持つハングリーさや貪欲さを痛感したという。いかにメジャー契約を勝ち取るか、いかにメジャーのロースター25人枠に入るか、いかにレギュラーとして定着するか。巡ってきたチャンスを逃すまいと、文字どおり身体を張ってプレーする選手に、駆け出しの頃の自らの姿が重なったようだ。
「怪我をしても休めない。そのポジションを狙う選手はいくらでもいますから。休んだら、あっという間に奪われてしまう。どこか痛くても、ごまかしながら143試合を乗り切るのがプロじゃないかな。全試合100パーセントの状態で出られる選手なんて誰もいない。1年間プレーしながら好不調がある中で、いかに成績を残すか。それがレギュラーの仕事だと思います。
少しでもいい成績を残して1軍に定着するために、投手のクセを徹底的に探したこともあります。フォームだったり、球種別だったり。何か一つでもクセが分かれば、盗塁の成功率やヒットが打てる確率はグンと上がるじゃないですか」