WBC制覇へ打撃と機転で存在感 青木宣親が見せる“自然体のリーダーシップ”
チームを支える青木の「アンテナ」
青木がカギとなるのは、打撃だけではない。WBC2大会を知る経験者として、チームの精神的支柱も期待されている。実際、5日オリックス戦では1回裏に2点を先制された直後、青木が自主的にベンチ内で選手を集め、「まだこれから」とポジティブなメッセージを送った。この機転が2回表の鈴木誠也外野手(広島)の逆転3ラン、そして9回表の秋山翔吾外野手(西武)の決勝打につながった。
責任ある役割に思えるが、青木自身が気負う様子はない。「その場その場で気付くことがあるので、それをしっかり伝えていきたい。ここ2試合(強化試合)でも、そういうシーンがあったし。アンテナを張って、その場その場でチームの雰囲気を感じていきたいと思います」と、自然体から生まれる無理のないリーダーシップで、仲間と共に勝利を目指すだけだ。
2012年のメジャー移籍以来6年ぶりに聞くヤクルト時代の応援歌に「打席で集中しているから、実は最初はそこまで聞こえてなかった。でも、ちょっと新鮮だよね」と笑顔を見せる。東京ドームで野球をすること、日本人選手が集まるチームでプレーすること。主戦場をアメリカに移す前は当たり前だった光景が、今では貴重な機会に変わった。
今季から加入したアストロズでは、レギュラーの座を確約されているわけではない。それでもスプリングトレーニングを一時離れ、4年に一度しか訪れないWBCの大舞台で、侍ジャパンの一員として闘うことを選んだ。そんなベテラン野手の姿勢から、他の選手たちは何か感じ、学び取れるはずだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count