V戦士・岩村明憲氏がWBC侍J初戦に見た課題と収穫「あらためて足は大事」

「隙あらば1つ先を狙う姿勢は、今後の試合でもカギになる」

 5回1死からストレートの四球を選んで出塁した中田は、続く坂本勇人内野手(巨人)の2球目でスタート。ボールは大きくワンバウンドし、中田は楽々と二塁を陥れた。1死二塁と得点機を作ると、坂本が3球目を左翼線への二塁打とし、中田は一気にホームへ生還。この回合計5得点の猛攻を呼んだ。小久保裕紀監督も「思い切ったスタートだった」と褒めた。

「やっぱり中田翔だね(笑)。安打こそなかったけど、フォアボールを2つ選んで盗塁も決めた。あの二盗は大きかったね。翔は走らないだろう、と相手が思っている隙を見事に突いたプレー。もし盗塁せずに一塁にいたままだったら、勇人の二塁打でホームまで戻れたか分からないよ。あの回に一気にリードを広げられたのはデカイ。

 過去のWBCを見ても、日本は06年は13個、09年は11個、13年は7個の盗塁を決めている。初対戦の外国人投手を相手に打線が苦戦をするであろうことを想定したら、盗塁の非常に大切。あらためて足は大事だってことを知らされたプレーだったよね。走ることで得点チャンスを増やすだけじゃなく、相手の投手や守備にプレッシャーを掛けることができる。隙あらば1つ先(の塁)を狙う姿勢は、今後の試合でもカギになるよ」

 WBC王座奪還の道は始まったばかり。1次ラウンド、2次ラウンド、決勝ラウンドと勝ち進む上で、克服するべきポイントも見えた。伸びしろは無限大にある。そんな期待を込めながら檄を送るのが、小林誠司捕手(巨人)だ。

「小林君の配球とリードが少し心配になった。初回に石川(歩)が内野安打とエラーで無死一、二塁のピンチを迎えた時、打者がシンカーを待っているカウントでシンカーを投げさせていた。確かに石川の持ち味はシンカー。でも、その武器を生かす配球ができていたか。ちょっと疑問だな。

 それと球が高めに浮いた時、低めを要求する時にもっと大きなジェスチャーで投手に意識付けさせてもいいと思う。もちろん『低めに投げよう』って話をして言葉で伝えているんだろうけど、ピッチャーが投球モーションに入った時に、低めに投げろって大きくジェスチャーしてあげることも大事。マウンドで集中する投手には、大げさなくらいのアクションで示さないと届かない。

 今までの使われ方を見ても、小林君を中心にキャッチャーは起用していくんだと思う。だからこそ、実戦の中で学び、次の試合では成長した姿を見せてほしいね」

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