イチローは狙えば本塁打を量産できたのか? 米メディアがデータを基に分析
「イチローはフライを打とうという試みをしなかったことが正しい」
ただ、今季はまだ93打席とサンプルは乏しいものの、アロンソは射角30度の打球が増えているというのだ。記事では、「アロンソの打球分布が変化したことは明確だが、彼が最高速度を生み出す射角については多くのことはわからない」と指摘。射角30度の打球ながら、打球のスピードは100マイル(約161キロ)を超えるものから、60マイル(約97キロ)以下のものまで幅広いというデータも出ている。
さらに、レンジャースのエルビス・アンドラス内野手もフライボールヒッターへのモデルチェンジを進めている一例として特集に登場。右打ちのアンドラスは2015年に打撃フォームを改造したという。スイングの前にそれまで上げることの少なかった左足を上げ、パワーを生み出すことを狙ったが、打球のスピードが最も速い打球の射角は0度から5度が大半だったというデータを紹介。つまり、打球スピードと射角が噛み合ってなかったということになる。それが、2016年には変化が見て取れ、0度から5度の射角が依然として最高速度ながら、打球分布の変化に伴って、グランドボールの打ち損じが減ったと分析している。平均の発射角は8.1度から8.6度に変化しているそうだ。
これらのサンプルを紹介した上で、記事は最後に「ライナーとホームランを生み出す理想的な角度には、その選手の体格、体重、スピードが関連してくる。その選手の打球の初速のピークに基づいて理想的な射角というものが存在する事を示唆している。イチローはフライを打とうという試みをしなかったことが正しいかもしれない」と結論づけている。
バッティングを崩してまで一発を狙うスタイルにシフトせず、自分の打撃をメジャーで貫いて、メジャーだけでも通算3036安打を記録してきたイチローの流儀を“正解”と分析した形だ。唯一無二の個性で、球史に名を刻んできた背番号51。その“旅”はまだまだ終わりそうにない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count