窮地に陥った田中将大に何が起きているのか…データから探る不調の原因とは?
コンビを組んだ捕手によっても成績に明暗…
もう一つ、はっきりしたデータがある。今季の田中は、組む捕手によってまったく成績が違うのだ。
○第1捕手ゲイリー・サンチェスと組んだ時の投手成績
5試合 1勝3敗 18回1/3 自責点25 20奪三振 防御率12.27
○第2捕手オースティン・ロマインと組んだ時の投手成績(ヒガシオカ=1/3イニングで自責2)
6試合 4勝0敗 29回2/3 自責点10 19奪三振 防御率3.03
昨季はサンチェスと組んだ7試合では防御率1.94と好相性を披露したが、今季は圧倒的にロマイン(ヒガシオカ)が捕手の時の方が好成績を収めている。数字だけを見ると、田中の捕手はロマインに固定したいところだが、それは簡単な話ではない。サンチェスは強打の捕手として今売り出し中であり、打線に不可欠の存在になりつつある。ロマインはヤンキースで6シーズン目だが、打撃は大きく期待できないため、あくまで控えの位置づけだ。
ロマインと組んだ時の田中のK9は5.76、GO/AOは1.34、サンチェスと組んだ時のK9は9.82、GO/AOは0.70。全く別の投手のような投球内容になっている。ロマインは田中を技巧派投手とみなして配球を組み立てているが、サンチェスはパワーピッチャーのように投げさせている。そう考えることもできるのではないだろうか。
捕手との相性に問題があるとすれば、首脳陣とサンチェスを交えた十分な調整が必要かもしれない。特に、配球については大幅な見直しが必要なのかもしれない。
しかし、ここまでの炎上はそれだけでは説明がつかない。一般に、スプリッターは速球以上に速い腕の振りが必要だと言われている。田中はスプリッターを思い通りに投げることができなくなっているとすれば、フィジカル面で何らかの問題が生じている可能性があるのかもしれない。
いずれにしても、現地5月25日のカンザスシティ・ロイヤルズ戦での次回登板は、今後を占う重要な試合になると言えそうだ。
【了】
広尾晃●文 text by Koh Hiroo