指導者・松井秀喜氏の今 特別インタビュー(上)「長嶋監督の気持ちが分かる」

松井秀喜氏の著書「エキストラ・イニングス 僕の野球論」に本人の直筆サインを入れて2名にプレゼントします
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「今こうして指導するときに『だよね』と長嶋監督に共感する気持ちがある」

 選手時代は「開き直る」という言葉を嫌い、打撃を理詰めで考え抜くことで知られていた。指導の信条は「自分を選手に置き換え、頭の中で他人の肉体を使ってバットを振る」というほど、選手の立場になって考えること。2Aトレントンのボビー・ミッチェル監督らは指導力を高く評価する。

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松井秀喜氏の著書「エキストラ・イニングス 僕の野球論」

「考え抜くのが当たり前だと思っていた。それが今の仕事に役立っているかは分からない。打撃技術の向上や不振からの脱出は何か違うことで解決できる問題でない。自分の頭で考える以外に道はない。考え抜くしか何かを導き出す方法はないと思ってきた。

 指導する立場となって感じるのは、悪い点を指摘するのは簡単だということ。打撃を見ればすぐ気付くし『こうすればいいのに』と言える。でも指摘されてそれを直すすべを選手が持っているかと言ったら、持っている選手はほとんどいない。変わる必要性を選手にどう気付かせ、納得させて改善するか。コーチが見て良くなったと評価できる形で、かつ選手自身の感覚でもいいと思えるものを導き出さなければいけない。指導するうえで一番難しい部分だ。

 指摘することと、変わるように導いてやることは全く別で、両方やって初めて指導者と言える。『こうなっているから、こうしろよ』と指摘するだけの指導者なら、はっきり言って簡単だ。本当に賢い選手はいるのかもしれないけど、普通は『じゃあどうしたらいいの』となる。この仕事を3年間やって難しさを痛感している。納得させて本人が変わるように持っていく。それは日本語を駆使したとしても難しい。自分が突き当たっている壁かなと思う」

 選手時代は「ラッキーでした」が試合後の決まり文句で、打撃技術について細かいことをあまり語らなかった。「自分の感覚は誰にも分からない」と考えることもあったという。極めてプライベートなことと捉えていた打撃技術を他人と共有するのが仕事となった。

「自分が作り上げてきた打撃と他人が作り上げてきた過程やそこから得た感覚は共有するのは不可能に近いと思う。だからこそ、長嶋茂雄監督は松井秀喜に毎日ほぼ同じことを言っていた。その気持ちが分かる。毎日口を酸っぱくして言って、同じ時間を共有しても監督は『まだまだだよ』という差を感じていたと思う。だからこそ毎日やっていた。監督の要求を満たしていたとは自分でも思わない。ただ、その日々の積み重ねで成長できたし、今こうして指導するときに『だよね』と監督に共感する気持ちがある」

(特別インタビュー第2回では、松井氏がヤンキースの2人の新星、ジャッジとサンチェスについて語る)

◇プレゼントについて 松井秀喜氏の著書「エキストラ・イニングス 僕の野球論」(本人の直筆サイン入り)プレゼントはご応募を締め切りました。多数ご応募いただきありがとうございました。当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。

松井秀喜氏のMLB通算成績

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