その背中から学べるものは数知れず パ・リーグを生き抜く大ベテランたち
今季のオリックスはベテラン選手が存在感
○栗山巧外野手(埼玉西武)
今季から浅村がキャプテンに就任し、新たな一歩を歩み出した埼玉西武。しかし、プロ15年目の栗山がチームリーダーであることに変わりはない。今季は怪我に悩まされ、指名打者や代打での出場が続く時期もあったが、4月7日の福岡ソフトバンク戦で通算1500試合出場を達成した。
5月21日の福岡ソフトバンク戦で自身初となるサヨナラ本塁打を放つと、8月17日の楽天戦でも2本目のサヨナラ弾を決めるなど、ここぞという場面での勝負強さはさすがである。キャプテンの肩書きは浅村に譲ったものの、決して欠かすことのできない精神的支柱として、チームを鼓舞し続けている。
○中島宏之内野手(オリックス)
今季のオリックスは、頼れるベテランが存在感を示している。プロ15年目、36歳の小谷野と、プロ17年目、35歳の中島だ。小谷野は、8月27日の埼玉西武戦で持ち前の勝負強さを発揮し、来日以来被本塁打「0」だったシュリッター投手から逆転3ランを放った。中島も、力みのないスイングで打率3割間近と、日本球界復帰以降の不振から脱しつつある。完全復調となれば、吉田正、マレーロ、ロメロ、T-岡田を擁する打線の厚みがさらに増すことになるだろう。
○田中賢介内野手(北海道日本ハム)
今季で古巣復帰3年目の田中賢は、プロ18年目の36歳だ。米球界から復帰した選手の成績が伸び悩むケースは多いが、田中賢はその得難い経験を活かして、安定した活躍を見せている。特に脚力は衰えを感じさせず、7月6日には通算200盗塁を達成。現在11盗塁で、自身8度目となる2桁盗塁にも到達した。若手が中心の野手陣の中で、経験豊富な田中賢のプレーは良いお手本になっていることだろう。
○井口資仁選手、福浦和也内野手(千葉ロッテ)
千葉ロッテ野手陣にも経験豊かなベテランがいる。プロ21年目、42歳の井口と、プロ24年目、41歳の福浦だ。井口は今季限りで勇退したが、5月25日の福岡ソフトバンク戦で日本球界通算250本目となる本塁打、そして9月24日の引退試合では9回裏に値千金の同点弾。打者として、プロ野球選手として、さらなる高みへ到達した。
プロ野球という勝負の世界で、ベテランと呼ばれるまで活躍し続けることは容易ではない。実績を裏付ける技術はもちろんのこと、安定した成績を残すノウハウも持ち合わせている必要があるだろう。若手選手に足りない「生の経験」を伝える存在として、ベテラン選手が球界に果たす貢献度は計り知れない。シーズンも残りわずかとなったが、避けられないコンディションの変化とうまく付き合いながら、「いぶし銀」の働きを見せるベテラン選手たちの勇姿に、今後も注目してほしい。