世界を知って変わった2人、U-18代表2年生コンビがチームに還元する経験
報徳学園・大角監督「大人になったなと思いますね」
高橋と安樂に関しては投手なので、今回の藤原と小園の2人と同じ物差しで測ることはできないが、世界の舞台に立つということはそれだけ心身に疲労が生じるということだ。しかも、今回は時差が13時間もあるカナダでの大会。コンディショニングは大変だし、体内時計を現地仕様にするのにも時間が掛かったはずだ。10日間で9試合をこなす実にハードなスケジュールを終えて帰国した2人は、その週末には秋季大会が予定されていた。だが、国際舞台を経験した2人は、疲労を大きく上回る貴重な経験を手に入れた。
12日に帰国し、その週末の16日(土曜日)に初戦の明石南戦が組まれていた報徳学園だったが、雨天中止に。その時、大角健二監督は小園について、こんな話をしていた。
「大人になったなと思いますね。練習でも指示を出すと、真っ先に動くのが小園。今までなら先頭に出てくることはなかったんです。あと、バントやセーフティなども今までやったことがなかったのですが、代表の中で経験したことで“打つ”だけじゃないということも学びました。日本代表になって、意識が変わりました」
代表チームの中では、チームの盛り上げ役としてベンチで笑顔を絶やさなかったのが小園だった。常に誰かのそばに立ち、3年生の輪の中にいても、委縮することなくのびのびとプレーしていた。その中でも“先輩たち”の手法をしっかり勉強していた。
「清宮さんはいつも、ベンチでも守備位置からも大きい声を出していました。グラウンドを離れても常に意識が高い。ミーティングを率先してやっていたり…。だから、打席でもあれだけのオーラがあるんやなって。あと、丸山さん(和郁=前橋育英)に盗塁のコツを教えてもらいました。レベルが高すぎて理解するのは大変でしたけれど、それぐらいの意識がないとやっていけないんだと思いました」
全国の精鋭たちの姿を見て、このままではいけないという思いが強くなったのだろう。その経験を持ち帰り、小園はすぐにチームメイトに伝えたという。時には練習時に全員の前で身振り手振りで方法を教え、仲間に日本のトップレベルの姿を伝えた。代表として得たものをチームに還元したい。その思いが、小園は一層強いように感じる。