社会人は打高投低、清宮回避で一本釣りも…元阪神ドラ1藪氏が見るドラフト

「人柄を知るほど、この人は嘘をつけない人だな、この人を裏切ったらダメだなって」

 憧れの球団、優勝が狙える球団…。球団を選ぶ基準は人それぞれだが、藪氏には担当スカウトの人柄や熱心さが決め手になったようだ。

「阪神、巨人、オリックス、近鉄。いろいろな球団が見に来てくれたけど、阪神で関東担当スカウトだった菊地(敏幸)さんには大学の頃から見てもらっていた。人柄を知るほど、この人は嘘をつけない人だな、この人を裏切ったらダメだなって思うようになったんですよ。そういう人間関係ってありますよね。

 巨人の寮長もやっていた木戸(美摸)さんも、社会人の時にはグラウンドが近いこともあって、毎日来てくれましたね。奥さんが車を運転して、木戸さんは助手席からスカウティングしてました」

 自身と同じ、社会人野球出身選手の動向は、やはり気になる。社会人では2001年まで金属バットが使用されていたが、2002年からは木製バットを導入。この結果、より即戦力として起用できる打者が増えた。

「社会人は金属から木のバットに変わって、野手に外れが少なくなりましたね。DeNAの倉本君、戸柱君とか、今年で言えば、西武の源田君。プロに入ってもバットが変わらないから、そこでの適応力が問われることがなくなった。昔の社会人野手は、プロに入ると苦労する人が多かったけど、かなり減りましたよね。

 その一方で、投手はやや力が落ちているようにも見える。前は、金属バットでどんどん打たれる中でも抑える投球を身につけようとしていたから。オリックスの山岡君とかいいピッチャーだと思うけど、社会人出身の投手は少し苦しむ傾向にありますね」

 運命のドラフトまであと1日。その当日は、逆指名だった藪氏でも「名前を呼ばれるとうれしさはあった」と振り返る。今年は何人がプロ野球選手という夢に向かって、大きな一歩を踏み出せるのか。10月26日。ここから数々のドラマが生まれそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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