貴重な経験と選手との絆 プロ野球球団の通訳に求められる重要な要素とは?

ウィンタース氏「私にとっては外交官のような存在」

「私にとってトシ(当時の通訳。現球団代表の島田氏)は先生であり、セラピストであり、コーチであり、友達だった。彼がいなければ5年間も日本でプレーすることはなかった。言葉を単純に訳すだけではなく、言い回しを汲み取って通訳してくれていたので、私にとっては外交官のような存在でもあった。私は現役時代、そしてスカウトの仕事をするようになってから関わった通訳と人生を通して続く友情を育むこととなった」

 こう話すウィンタース氏。自身の通訳を務めた人間が今は球団代表を務めている。通訳経験者が持つ強みについてもこう語ってくれた。

「通訳を経験した者は球団に多くをもたらす。独創的な発想を持つことの大切さを学ぶ仕事であり、常に早急な判断力が必要とされる」

 プロ野球界での通訳の仕事は特殊な人間だけしか得ることのできないポジションではなくなった。最低限の語学力はもちろん必要となるが、水原氏が自身の足りない面を語ってくれたように、必ずしも“完璧”な人材である必要がない。選手たちを支える気持ちを持っている者こそがいい通訳として育っていけるのではないだろうか。特に北海道にはそんな舞台が用意されている。

 私も米国球団で5年間通訳をさせていただいたのだが、今思えば本当に選手達には迷惑ばかりかけてきた。その中で育てられ、自分に足りない面を補っていく挑戦を続けてきた。プロスポーツの現場で選手との関係を築き、自らも成長できるという仕事は早々ないはずだ。そういった機会を手に入れるチャンスが今は手が届く場所に多く存在している。現在、北海道日本ハムファイターズでも英語通訳を募集している。完璧でなくていい。欠点を補う意欲を持っている者はかけがえのない経験をつかめるはずだ。

(「パ・リーグ インサイト」新川諒)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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