イチロー.813、ベルトラン.864 引退決めた強打者の知られざる史上NO1記録

イチローを上回る驚異の数字「.864」

 彼は、MLBでもトップクラスの走り屋だったのだ。2009年以降は盗塁数が減ったものの、通算312盗塁を誇る。次の塁を果敢に奪ってきた。そして、ベルトランが凄いのは、ただ単に塁を奪っただけでなく、めったに失敗しなかったという点だ。

 MLBで300盗塁以上した選手の盗塁成功率は以下の通り。MLBの両リーグが揃ってCS(盗塁死)を記録し始めたのは1951年からなので、それ以降の数字になる。

1.カルロス・ベルトラン .864(312盗塁49盗塁死)
2.ティム・レインズ .847(808盗塁146盗塁死)
3.エリック・デービス .841(349盗塁66盗塁死)
4.ウィリー・ウィルソン .833(668盗塁134盗塁死)
5.バリー・ラーキン .831(379盗塁77盗塁死)

 ちなみに300盗塁以上の選手では、イチローは盗塁成功率.813で11位(509盗塁117盗塁死)となっている。

 並みいる韋駄天選手を押しのけて、ベルトランはMLB史上1位。2003年は26本塁打100打点に加え41盗塁、盗塁死はわずか4、2004年は38本塁打104打点に加え42盗塁、盗塁死3。リーグ屈指の強打者だったから、歩かされることも多かったが、一塁に出たとたん、最も危険な走者になっていたのだ。通算打率.279とアベレージヒッターではないので、トリプルスリーは記録していないものの、全盛期にはMLB屈指の5ツールプレイヤーとして君臨していた。

 ベルトランが引退しても、今季打率.318を記録したホセ・ラミレス(インディアンス)、同.303のマーウィン・ゴンザレス(アストロズ)、38本塁打のジャスティン・スモーク(ブルージェイズ)、33本塁打のフランシスコ・リンドーア(インディアンス)と、MLBには次々とスイッチヒッターの強打者が育っている。

 日本でも今季、阪神の大和が両打に転向して話題になったが、規定打席に達したスイッチヒッターはいない。中日・藤井淳志の99安打が最多だ。スイッチヒッターに転向すれば、いろいろと有利なことが増えるし、チームの戦術上も大きな武器になる。日本人打者もどんどんチャレンジしてほしいものだ。

【動画】盗塁だけじゃない…ベルトランがアストロズ本拠地中堅の「坂」を駆け上がり背面でスーパーキャッチ

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