活躍したのは受賞者だけじゃない 新人王逃した過去20年のルーキーたち

ルーキーながらDeNAを日本シリーズに導く活躍をみせた濱口遥大【写真:荒川祐史】
ルーキーながらDeNAを日本シリーズに導く活躍をみせた濱口遥大【写真:荒川祐史】

のちに大物になる選手も…今季はオリックス山岡やDeNA濱口が受賞ならず

 大河ドラマの戦国武将の言を借りるなら、「王は二人もいらない」ということか。1950年に制定されたプロ野球新人王投票において、パ・セ両リーグで複数人が選出されたことはかつてない。今季はパ・リーグから源田壮亮内野手(埼玉西武)、セ・リーグからは京田陽太内野手(中日)が選ばれたが、山岡泰輔投手(オリックス)や濱口遥大投手(横浜DeNA)のように、表彰台には立たずとも堂々たる成績を残した新人がいる。そこで、過去20年の候補選手を振り返り、新人王を逃しながらも受賞に値するだけの成績を残したルーキーを紹介したい。

※所属は当時で、<>の数字は新人王投票順位、-は得票なし

【1997年】

◯セ・リーグ
<2>川村丈夫氏(横浜) 先発投手
26試合 10勝7敗 151.2回 防御率3.32 与四球率2.91 奪三振率8.72

 新人王を受賞した澤崎俊和氏(広島)は防御率3.74、与四球率2.71、奪三振率6.10で、投球内容は次点の川村氏に軍配が上がる。だが、投球回数はほぼ同じでも、澤崎氏は21先発に加えて17試合に救援登板し、12勝8敗。実際の投票数は148対28と大差がついた。

【1998年】

◯セ・リーグ
<2>高橋由伸氏(巨人) 外野手
126試合 140安打 19本塁打 75打点 3盗塁 打率.300 長打率.496 出塁率.356

<3>坪井智哉氏(阪神) 外野手
123試合 135安打 2本塁打 21打点 7盗塁 打率.327 長打率.414 出塁率.383

<4>小林幹英氏(広島) 救援投手
54試合 18S 81.2回 防御率2.87 与四球率3.97 奪三振率11.57

 稀に見るルーキー豊作イヤーの新人王レースを制したのは、14勝を挙げて、リーグ2位の防御率2.57を記録した川上憲伸氏(中日)だった。高橋氏は東京六大学時代の好敵手である川上氏に22打数1安打(唯一の安打は本塁打)に抑えられたが、新人としては史上7人目となる打率3割をクリアし、守ってもリーグの外野手で最多タイとなる12補殺を記録してゴールデングラブ賞を受賞と攻守に活躍。坪井氏は2リーグ制以降で新人史上最高打率.327を残している。小林氏は最長で4回を救援するなど26試合がイニングまたぎのタフネスで、奪三振率11.57は、この年のリーグMVPに輝く佐々木主浩氏(12.54)に匹敵する水準だった。

【1999年】

◯パ・リーグ
<2>川越英隆氏(オリックス) 先発投手
26試合 11勝8敗 177回 防御率2.85 与四球率2.39 奪三振率6.81

 高卒でリーグ最多の16勝を挙げた松坂大輔投手(西武)はインパクトの面を含めて史上でも有数のルーキーであり、ほぼ満票で新人王を手中に収めたのは当然の結果と言える。だが、社会人野球を経た川越氏は、松坂投手を上回る8完投を記録し、9回あたりの四球数では約2個も少ない成熟した投球スタイルで、即戦力の期待に応える結果を残した。

◯セ・リーグ

<2>岩瀬仁紀投手(中日) 救援投手
65試合 1S 74.1回 防御率1.57 与四球率2.66 奪三振率8.84

<3>福留孝介内野手(中日) 
132試合 打率.284 16本塁打 52打点 131安打 4盗塁 長打率.451 出塁率.359

-二岡智宏選手内野手(巨人)
126試合 打率.289 18本塁打 51打点 121安打 8盗塁 長打率.452 出塁率.342

 勝利、防御率、奪三振、勝率の投手4冠に輝いた上原浩治投手(巨人)以外に選択肢は残されていなかったように思えたが、わずかながら得票を得た2人も、並の年であれば新人王を受賞するに相当する好成績だった。岩瀬は1軍デビューを果たした4月2日の広島戦でひとつのアウトも取れずに降板したが、そこから信頼を勝ち取り、強固なブルペンで立場を築いてリリーフながら2桁勝利をマーク。福留も121三振を喫しながら、打線の1~3番を務め上げるだけの打力でチームのリーグ優勝に貢献した。同じ遊撃手の二岡選手は、チームメイトの上原投手が投げた試合で打率.326、6本塁打の援護。

【2000年】

◯セ・リーグ
<2>高橋尚成氏(巨人) 先発投手
24試合 9勝6敗 135.2回 防御率3.18 与四球率2.39 奪三振率6.77

<3>木塚敦志氏(横浜) 救援投手
46試合 18S 62.1回 防御率2.89 与四球率1.88 奪三振率10.54

 開幕からの6戦で5つの白星を稼いだ高橋氏と、夏場にはクローザーに定着した木塚氏。社会人と大学からプロの世界へ飛び込んだ2人が順調に足場を固めるなか、彗星のように現れたのが金城龍彦氏(横浜)だった。4月こそ4試合の出場に終わったが、シーズン半ばまで4割前後の打率を維持し、首位打者を獲得する。新人王争いでは逆転を許したが、高橋氏は老獪な投球で、木塚氏は気迫を前面に押し出して、それぞれチームの主力選手へと成長していった。

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