日本一に欠かせぬ“絶対的守護神” 西武・増田に求められる進化とは

西武・増田達至【写真:(C)PLM】
西武・増田達至【写真:(C)PLM】

5年連続40試合以上登板、守護神の座に君臨するが…

 昨季の序盤から、埼玉西武の勝ち試合で最終回を任されるようになった守護神・増田達至投手。今季は57試合に登板し、ルーキーイヤーから5年連続となる40試合以上登板を達成した。守護神らしい鉄腕と強靭なメンタルを備え、緊迫した場面でマウンドに上がり続けてきた右腕だが、今季はチームが4年ぶりのAクラス入りを果たす中で、その役割の重さを実感するシーズンだったことだろう。

 福井工業大学からNTT西日本を経て、2012年のドラフト1位で埼玉西武に入団した増田投手は、ルーキーイヤーから42試合に登板。5勝3敗5ホールドと、早くも中継ぎとしての潜在能力を発揮する。翌2014年にはチームトップの22ホールドを挙げ、2015年にはリーグトップの72試合に登板するとともに42ホールドポイントを積み重ねて、栄えある最優秀中継ぎ投手に輝いた。

 昨季は高橋朋投手の故障もあって、シーズン序盤から守護神を任されることに。4月3日の楽天戦で初セーブをマークすると、シーズンを完走して防御率1.66と安定。リーグ4位の28セーブを記録し、大役を務め上げた。

 迎えた今季は、4月2日の北海道日本ハム戦で初セーブを記録すると、57試合に登板してキャリア最多タイの28セーブ。炎獅子ユニホームを身にまとってチームが13連勝した期間には、最後のマウンドで快進撃に貢献した。今季は新戦力の台頭もあり、個性豊かな中継ぎ陣を擁する埼玉西武だが、増田投手以外でセーブを挙げたのは岡本投手(1セーブ)のみと、右腕はシーズンを通して守護神の座を守り抜いた。

 とはいえ、その裏で課題が浮き彫りになったシーズンであったことも、また確かだ。今季は自己ワーストタイとなる5敗、被本塁打7本。リーグ制覇を果たした福岡ソフトバンクの守護神・サファテ投手が2敗、被本塁打3本。楽天の守護神・松井裕投手が3敗、被本塁打0本であることを考えれば、増田投手に求められるものはまだ多いと言わざるを得ない。

 しかし、ルーキーイヤーは7.52だった奪三振率が今季は9.27に改善され、昨季54回1/3で51本だった被安打が今季は56回1/3を投げて41本に減るなど、年々進化を遂げている部分も多い。150キロの直球と縦に鋭く落ちるスライダーを武器に三振を奪う姿は、もはや右腕の代名詞にもなりつつある。

 楽天との熾烈な順位争いを制し、Bクラスから脱出した埼玉西武。10年ぶりとなる優勝を狙う来季に向け、絶対的守護神の存在は必要不可欠だ。今季終盤には高橋朋投手も復帰し、来季はブルペン陣の起用法も変化するだろう。マウンドに上がること268回。300試合登板の大台到達も間近に迫った増田投手は、来季どのような姿を見せてくれるだろうか。

【動画】6月に行われたDeNA戦では見事"リベンジ"を果たした西武・増田

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