「最初はマウンドに立つのが怖かった」 大阪桐蔭新エースを襲う「1」の重圧
感覚取り戻す転機、“11だったらこうも気楽に投げられるのか”
そんな中、感覚を取り戻すきっかけとなったのが愛媛国体だった。準決勝で、今夏の甲子園で全国制覇を果たした花咲徳栄と対戦。同じ2年生の主砲・野村佑希に抜けたフォークを外野に運ばれたが、好打者の西川愛也(西武2位指名)にはヒットを許さなかった。
「(投手コーチの)石田先生からは“攻める気持ちで投げてみろ”と言われていました。国体は夏までの背番号11だったんですけど、その時にふと考えたのが、“11だったらこうも気楽に投げられるのか”と。1番はゲームを作らないといけない、勝たないといけない、という気持ちが強かったけれど、冷静に考えれば、国体でアドバイスを受けたように緩急をもっと上手く使えば抑えられる。そこから大阪に戻って(決勝の)履正社戦では自分の感覚を少しずつ取り戻せるようになりました」
大阪大会決勝の履正社戦は2点を失うも、要所を締めて完投勝ち。そして近畿大会・決勝戦では、智弁和歌山を7安打されながらも完封するなど、ポイントとなる試合では期待に応える結果を残した。ようやく自分らしさを見いだせたかと思ったが、先発した神宮大会の準優勝・創成館戦では、3回に連打を浴びるなどして4点を失って降板。ミスも重なって4-7で敗れた。
「近畿大会までの試合はごまかして勝ってきたというか、勝たせてもらった試合もありました。相手のミスにつけ込んで大量得点に繋げられたし、自分たちがミスをしても誰かがカバーできていました。でも、創成館の試合はコーチに試合前に注意されていた通りのミスが出て、負けるべくして負けた試合でした」