「アジアチャンピオンシップ」をどう見たか…現地記者が明かす台湾野球事情
現地で台湾スポーツを取材する駒田英氏インタビュー・第1弾
日本、韓国と並び、アジアの野球界をリードする存在の台湾。現在は6チームが参加するアジアンウィンター・ベースボールリーグが開催されている。身近にありながら意外と知られていない台湾野球だが、現地から日本に向けて情報発信している人物がいる。それが駒田英氏だ。
駒田氏は、台湾野球好きが高じ、2006年に台湾へ渡った。語学学校で中国語を習得し、大学院で翻訳、異文化コミュニケーションを学んだ後、台湾の政府系海外向けラジオ局に入社。記者、パーソナリティーを務める。台湾のスポーツ事情に詳しく、『台湾プロ野球<CPBL>観戦ガイド 』(ストライク・ゾーン)に執筆者の1人として参加した。その駒田氏に台湾の野球事情についてインタビューした(聞き手・広尾晃)。
――11月に初開催された「アジア プロ野球チャンピオンシップ」で、チャイニーズ・タイペイ(台湾プロ野球選抜)は3位に終わりました。台湾ではどう受け止められていますか?
「初戦の韓国戦は、先発を務めたオーバーエイジ枠のチェン・グァンユウ(千葉ロッテマリーンズ)ら投手陣が健闘も0-1で敗戦。2試合目の日本戦は、今季3勝の林政賢(富邦ガーディアンズ)が粘りの投球を見せるも、中盤以降は投手陣が失点を重ね、最終回に反撃したものの2-8で敗れ、2連敗で決勝進出はなりませんでした。
今回の代表メンバーですが、野手は2年連続打率4割、今シーズンは3冠王となった“大王”王柏融(lamigoモンキーズ)、打率2位の陳傑憲(統一セブンイレブンライオンズ)、ホームランと打点2位の朱育賢(lamigoモンキーズ)ら、CPBLを代表する若きスター選手が揃っていました。一方で、投手陣は、直前の千葉ロッテマリーンズとの練習試合3試合で、先発陣がいずれも早い回で降板、中継ぎ陣は健闘したものの、3連敗を喫するなど不安の残る内容でした。9月の時点で『国際大会は投手次第、打線は水物』と発言していた洪一中・監督(lamigoモンキーズ)も、若い投手の戦力が限られている中、『打ってカバーする』戦い方を想定していたと思います。
結果は、初戦は韓国のサイドハンド、イム・ギヨン(起亜タイガース)、日本戦は今永昇太(横浜DeNAベイスターズ)に封じ込まれ、数少ないチャンスを作っても1本が出ず負けました。打線が繋がらない状況は、千葉ロッテとの練習試合でも見られましたが、“頼み”の打線は本大会2試合で26三振を喫し、打率.172と機能しませんでした」