伊東前監督との「ありすぎて語れない」思い出を胸に―ロッテ田村が誓う飛躍

東京五輪での日本代表入りも期待される田村

 そんな中で迎えた5年目の今季は、自己最多の132試合に出場。311打数77安打3本塁打36打点、打率.248という成績を残したが、チーム全体が悪い流れに呑まれてリーグ最下位に沈み、個人成績から想像する以上に苦しいシーズンだったことは間違いない。ただ、今季強肩でブレイクした福岡ソフトバンクの甲斐や埼玉西武の炭谷を凌ぎ、パ・リーグトップの盗塁阻止率.337をマーク。噛み合わないチームの中、正捕手として大きな責任を背負い込みながら奮闘していただろうことが窺える。

 また、今年の11月に開かれた「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」では日本代表に選出され、初戦の延長10回裏、左中間を破る劇的なサヨナラ打を放った。これは2020年の東京五輪を見据えた若手中心の国際大会であるため、3年後、田村が「打てる捕手」として日の丸を背負う姿を現実的に想像した人も、きっと少なくはなかったことだろう。

 ただ今は、3年後よりもまずは来季のシーズンだ。井口新監督のもと、チームが乗り越えるべき課題は山積みである。今季、千葉ロッテのチーム防御率は4.22で、チーム打率は.233。ともに12球団ワーストの数字だった。投手陣、打撃陣の立て直しが急務であることは言うまでもない。そして、例年通り正捕手を務めることが濃厚な田村は、1人で投打の調子を上向かせられる立場におり、女房役としても打者としても、さらなる成長が求められる。しかしそれはもちろん、容易なことではないだろう。

 20代前半で絶対的な正捕手の座に就く選手は珍しく、近年は特に規定打席に到達する捕手の少なさが嘆かれている。だがそれも、捕手にかかる負担があまりにも大きいからだろう。チームの巻き返しを託される来季、野球選手としては小柄で、まだ若い田村が扇の要として引き受けなければならない責任は、おそらくさらに重たくその身にのしかかる。それでも、恩師・伊東前監督との間にある「いっぱいありすぎて語れない」ほどの思い出を胸に。いずれはパ・リーグのみならず日本球界を代表する捕手となり、千葉ロッテの「22」の価値をさらに高めていってほしいものだ。

【動画】代打で登場した田村が1点差に迫る3ランホームランを放つ

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