「肩肘が壊れる環境で野球をさせるのは罪深い」―球数制限へ高まる声

「肩肘が壊れる環境で野球をさせるのは罪深い」「予防のためには投球制限が必要」

 こうした改革を進める上での課題は、野球の場合、各リーグが独立した存在であり、統一見解を持っていないことがある。さらには大学スポーツ全体でも、広範な理解が必要だと説く。高田氏は「野球人の肩肘が壊れる環境で野球をさせるのは罪深い、安心して野球できる環境を作っていきたい」と締めくくった。

 シンポジストの正富隆氏は行岡病院副院長(整形外科)、手の外科センター長、阪神タイガースのチームドクターとしても知られる。「成長期の野球肘は、痛みなく発症して気がつくときにはすでに遅い。予防のためには投球制限が必要」と主張する。

 1993年から、甲子園の高校野球では大会前検診を行うようになった。正富氏はこの担当医だ。テスト運用を開始した93年には、何らかの痛みがある選手が半数以上、投球禁止の選手もいたが、翌年以降は禁止規定が高校の間に浸透し、有症状者が減った。甲子園に行くときに炎症を起こしている選手を連れて行っても、投球禁止になるから無駄だという意識が広まったと語った。

 これと同時に、高野連は複数の投手の育成を推奨し、94年にはベンチ入り人数を増やした。一連の施策には一定の効果があったという。

 ただ、肘の故障は高校の時点ですでに発症していることが多いため、予防できない。最近は、小中学校で酷使して障害を残している子が増えているのでは、と懸念を語る。これを防ぐためには、小中学生で予防するのが重要だとした。

桑田真澄氏も投球制限ヘ向けてエール

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