「肩肘が壊れる環境で野球をさせるのは罪深い」―球数制限へ高まる声

桑田真澄氏も投球制限ヘ向けてエール

 正富氏は、成長期の少年に球数制限が必要であることを証明するために2014年から少年野球の選手にアンケート調査を実施したという。そこからは投球数や全力投球と痛み、故障の間に一定の相関関係がみられ、球数制限が必要であると結論付けられた。これを基に球数制限に関する提言がなされたが、少年野球の現場で全面的に受け入れられるには至っていない。

 しかし、親や指導者の意識は変化しつつある。1995年当時は、もっとやらせたいという親がいたが、最近は自分の子供を守りたいという親が増えた。また、親と子供の意見を聞いて大事に思う指導者が増えてきた、と紹介。野球界全体として障害予防の意識は高まっていると締めくくった。

 質疑応答では、甲子園の日程変更の話や、ソフトボールの球数制限など、広範なテーマが議論された。また、桑田真澄氏からも肩・肘の障害予防のためには投球制限しかない、ぜひこの研究会から科学的なデータをもとにした投球制限の指標を出して欲しいとエールがあった。

 コーディネーターの高田氏は「投球制限を反対する側からは、常に、これは野球じゃない、試合が成り立たないという意見が出るが、今後は、これが野球だ、これが将来につながる野球だという認識を広めていきたい。そしてこの研究会から投球制限に繋がる科学的なデータを出したい」と結んでいた。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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