200勝以上=殿堂入りはもう古い!? 時代と共に揺れ動く投手の評価基準
救援投手の殿堂入り、日米通算は?
さらに、救援投手も殿堂入りするようになった。150セーブ以上を記録した投手の殿堂入り状況を見てみよう。
1岩瀬仁紀 404S 現役
2高津臣吾 286S 候補
3佐々木主浩 252S ★
4サファテ 229S 現役
5小林雅英 228S
6藤川球児 223S 現役
7江夏豊 193S
8馬原孝浩 182S 年限未
9クルーン 177S
10武田久 167S 年限未
11永川勝浩 165S 現役
12豊田清 157S
13平野佳寿 156S 現役
名球会は「250セーブ以上」も入会基準にしているが、野球殿堂も2014年に252セーブを挙げた佐々木主浩氏を選出した。現役の岩瀬仁紀、候補になっている高津臣吾氏も、その基準で言えば「当確」か。サファテはこれまでのペースでセーブを量産すれば、2018年中に佐々木氏を抜いて歴代3位になるが、殿堂入り「当確」となるのだろうか。
ただし、佐々木氏はNPBでの252セーブに加え、MLBでも128セーブを挙げている。これを評価しての殿堂入りだとすれば、そのハードルは250セーブより高くなるだろう。
150ホールド以上を記録する投手の殿堂入り状況はどうだろう。
1山口鉄也 273H 現役
2宮西尚生 257H 現役
3浅尾拓也 200H 現役
4五十嵐亮太 157H 現役
5マシソン 152H 現役
全員が現役だ。浅尾拓也は近年、不振に喘いでいるが、セットアッパーとして唯一MVPに選ばれている。引退後にその功績がどのように評価されるか注目だ。
さらに、投手の場合は「日米通算」という考え方も出てきている。日米通算で150勝以上に達した投手を見てみよう。
1野茂英雄 MLB123勝 NPB78勝 ★
2黒田博樹 MLB79勝 NPB124勝 年限未
3岩隈久志 MLB63勝 NPB107勝 現役
4ダルビッシュ有 MLB56勝 NPB93勝 現役
5松坂大輔 MLB56勝 NPB108勝 現役
6田中将大 MLB52勝 NPB99勝 現役
7石井一久 MLB39勝 NPB143勝
野茂英雄氏は2014年に殿堂入りしたが、NPBでは78勝だったことを考えると、MLBでの活躍が評価された事実は明らかだ。これを前例とすれば、2016年オフに引退した黒田博樹氏も「当確」だろう。3位から6位までの現役投手も、日米通算200勝を挙げれば「当確」となるのか。
投手に関する殿堂入りの基準は、今、揺れ動いている。投手の分業が進み、これまでの評価基準が通用しなくなったからだ。また、トップクラスの投手がほとんどMLBに移籍する中で、「日米通算」も無視できなくなった。
野球を取り巻く環境の変化と共に、殿堂入りの基準も変化している。今年は誰が選出されるのだろうか注目が集まる。
(広尾晃 / Koh Hiroo)