「超がつくほどの真面目」―科学の力を武器とする鷹・バンデンハークの秘密
研究と野球の融合“Project FASTBALL"との出会い
オランダでは、代表チームのスタッフに「サイエンティスト」という役職が加えられるほど、スポーツに研究が生かされている場面が多い。2013年には王立野球・ソフトボール協会(以下:KNBSB)主導のもと、「Project FASTBALL 投手のケガ予防を含めた速球を投じるフォームの研究プロジェクト」が始動しており、バンデンハークを担当していた理学療法士は、知人のサイエンティストにお願いし、実験をすることになった。約5か国語を操ると言われ、サムスン・ライオンズ時代にコーチをしていた門倉健氏が「超がつくほどの真面目、何時間でも投球フォームを見直している」と評するほどの勉強家のバンデンハークも研究を快諾した。
実験の前には、過去の怪我や疲労が溜まりやすい箇所などをふまえた上、協議を重ね、動作分析を実行。そして科学者による測定の結果、バンデンハークは踏み出し足にかかる股関節の力が飛び抜けていることが判明。198センチ、105キロの巨体を踏み出し足である左足一本で支えていたことで、怪我のリスクも高くなり、故障につながっていたことが分かった。
分析を担当したProject FASTBALLリーダーの教授はこう説明する。
「彼は元々、特徴として・大きい(背が高い)・力強い・速い(球速)・うまい(技術)の4点を兼ね備えていた。それをうまく活用するためには、フォームを“変える”のではなく“生かす”ことが重要だ」