「何か残したい」ホークス松田が語る「熱男」と「ケンケン打法」のこだわり

「調子のバロメーター」となっている「ケンケン打法」へのこだわり

 そして、もう1つのこだわりである「ケンケン打法」はまさに“松田オリジナル“。空振りした後、ファウルを打った後に右足でケンケンとステップを踏む姿は、これまでの野球界で全く見られることのなかったもの。ただ、松田自身は常々、これが「調子のバロメーター」だと話している。

「(始めたのは)2011年くらい、レギュラーで出始めてからじゃないですか。調子がいいと気づいたのがそのくらいだと思います。下(半身)と上(半身)のバランス。下半身で打ってる証拠だと思います。使えなくて三振する時って、調子が悪い時。上でかぶって打ってるだけなので」

 つまり、空振り三振後に「ケンケン」が出ず、元気なくダグアウトに戻っていく時は、松田の調子が良くない時なのだ。

「そうだと思います。凡打でもそう感じます。ペタンと打っちゃうんです。下が使えず上だけなので。下から引っ張って上で打ってると、ケンケンしながら三振もするんで。そういった意味ではバランスがいいと思います」

 2015年オフには海外FA権を行使し、メジャー移籍の可能性も浮上していた松田。その直前の日米野球では、初めて見る松田の「ケンケン」にメジャーの選手たちは爆笑していたが、実際に米国に戦いの場を移した時、好意的に受け止められなかった可能性はある。ただ、松田本人は「(もしメジャー移籍が実現しても)続けるつもりだった」と話す。そこまでこだわる理由は何なのか。

「『熱男』もそうだし、『ケンケン』もそうだし、何か残したいでしょ、こういう選手は。成績であまり残らないなら、印象で残すしかない。印象で残してきましょう!」

 すでに通算212本塁打は球団歴代5位に入るなど、成績でも名を残す選手ではあるが、本人はこう話す。そして、その“成果”はすでに十分に表れ始めている。

「この前グアムで、攝津さんとか森とかが練習していて、そこに韓国のチームの選手が何人か来ていたんです。韓国の2年連続ホームランキングを取った選手(チェ・ジョン)がいたんですよね。その人に(指さされて)『マツダ』って(言われて)。『そう』って。そこは嬉しかったですね」

 日本国外にまで「熱男」が広がるなど、確かな「インパクト」を残してきた選手であることは間違いない。もちろん、今季ゴールデングラブ賞に輝けば、三塁手として歴代単独1位となるなど、攻守両面で球史に名を残すような成績も刻んできた。なにより、最強ソフトバンクの黄金時代を牽引した主力選手として、その存在感は抜群だ。その中でも、やはり松田の「熱男」と「ケンケン打法」は、今のプロ野球に欠かせない“要素“と言えるだろう。

(Full-Count編集部)

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