「今のままでは絶対に勝てない」 春連覇目指す大阪桐蔭に誕生した初の役職とは
大阪桐蔭で初となる役職、“サポートメンバー”が担う役割とは
大阪桐蔭では、選手間でミーティングを行うことは、もはや当たり前になっている。基本的にはキャプテンが中心となって意見を言い合い、お互いの思いを確認してきた。
だが、最近はキャプテンの中川や副キャプテンの根尾だけでなく、エースの柿木や注目の左腕の横川、昨年からレギュラーの山田健太などが日替わりになって仕切ることも多い。人前で話すのが苦手だった藤原は、昨年の侍ジャパンU18での経験を生かし「もっとチーム力を上げなければ勝てない」と仲間の前で説いた。全員がうなずいた。
副キャプテンは根尾のみだが、柿木、横川、藤原、青地、小泉などがその後ろでサポートメンバーとしてチームをバックアップする。サポートメンバーという“役職”は大阪桐蔭では史上初。“キャプテン”という役目に寄りかかるだけではなく、どの方面からでもチームを“変える”役割が必要ではないのか。誰でもチームにテコ入れできる環境を作ってこそ、本当の“活性化”とも言える。
また、中川がいつもと同じコンビでキャッチボールをするのではなく、1年生と2年生でコンビを組んでキャッチボールをした日もあった。ずっと注目されている先輩を前に、遠慮がちだった1年生も進んで動けるようになった。
毎年のように優勝候補に挙げられ、中学時代に名をはせた有望な選手が集い、その戦力の高さに皮肉すら浴びせられることもある大阪桐蔭。だが、実力だけではなく、徹底した意識改革と、チーム内での連携を常に注視している。このセンバツは史上3校目の春連覇の期待も膨らむが、力や技だけではなくチーム力をいかんなく発揮して勝ち進む「TOIN」戦士の姿も見てみたい。
(沢井史 / Fumi Sawai)