イチローら指導の名コーチが野茂氏の推薦で渡米 メジャーで伝える打撃論とは

右投げ左打ちの個性の見極め、イチロータイプか松井秀喜タイプか

「これまで右投げ左打ちですとイチローや川崎宗則、丸佳浩あたりを少し指導して、彼らが3割くらい残せるきっかけをこしらえることができたのかなって。イチローは僕とは関係ないとんでもないプレーヤーになったわけですけど(笑)。それでゲラにも、外角球を逆方向に低く強く打ち返す練習を進めて、取り組んだんですね。

 右投げ左打ちでも、イチローみたいな個性と松井秀喜みたいな個性があります。松井のようにメジャーでも見劣りしない体格の持ち主であれば、僕の言うアベレージを求めることはない。ただゲラは体がそこまで大きくないですから、素晴らしい守備を売りに、打撃ではいいコンタクトをしたラインドライブで打率を上げられればいいのかなと。タイプによっては、外野手の間を抜く、内野手が追いつけない、そういった速くて強い打球を目指すべきじゃないかと思いますね。僕はそういう人に指導したいと思うし、そう間違ったことは言わないんじゃないかと思います」

 プロ18年で通算打率.291、打率3割超えは7度、1987年には首位打者(打率.366)にも輝いた。自身の現役時代も、逆方向への強い打球を意識して打席に立ったという。

「ホームランは気持ちがいいから欲しがる時はあるんですけど、そう思った時には必ず打撃が下降線をたどるので、それを戒めとしていました(笑)。それでも、外角球が来たら逆方向へ速くて強い打球を飛ばすバットの出し方をすれば、インサイド寄りの甘い球はライトの頭上を越えるということを感じながら練習はしていました。自らは望まない、ということです」

 昨秋、初めて臨時コーチとしてパドレスの練習に参加した時、「ドリルやルーティンが全て振り上げのスイングばかりだったんですよ」と驚きを隠さない。置きティーを使った練習でも、高さは膝より下のストライクゾーンから外れた位置に設定し、しきりにバットを振り上げていたという。昨年メジャーでは合計6105本塁打が生まれ、史上最多記録を更新した。誰もが一発で得点が入るホームランを目指しがちだが、そこに三振が多くて打率や得点が低い、チームとしての打撃の問題を見た。

「ホームラン打者が増えたわけじゃない。そこを考えてみても…」

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