「こだわり」の投球を貫くか否か― 松坂大輔の乱調に見た理想と現実

松坂が語っていた「こだわり」

 この楽天戦後に「(ワインドアップで)投げなきゃいけない、使っていかなきゃいけないと思う部分と、セットポジションの方がバランスがいいのであれば、ずっとセットポジションでもいいかなという両方の気持ちがあります」とも語っていた松坂。14日の西武戦では、この「使っていかなきゃいけない」という部分もあって、ワインドアップでの投球に踏み切ったのだろう。 

 松坂にとって、ワインドアップにこだわりがあることは以前にも記した。「僕は(ワインドアップの)見栄えが好きで、ずっとやってきて、こだわりの1つなので。できれば、ランナーがいない時は振りかぶっていきたいですね」と語っている。その一方で、ワインドアップにすると、投球フォーム中の動作が増え、右肩を痛めていた際に染み付いた癖、「余計な動き」が出やすいとも、右腕は以前に語っていた。西武戦での投球を見る限り、まだワインドアップでの投球フォームが思い描く形にはなっていないということなのだろう。 

 ソフトバンク時代の昨季、公式戦での登板はなかったものの、3月25日の広島とのオープン戦で松坂は、7回無安打無失点と好投している。その後、右肩の変調でシーズンを棒を振ることになったが、この試合で、松坂は腕を上にあげないノーワインドアップでの投球で快投を演じている。 

 松坂自身の理想はワインドアップにある。だが、現実的に安定感を求めるには、セットポジションが現状では良さそうだ。昨年の広島戦のノーワインドアップへのチャレンジも1つの選択肢となるかもしれない。松坂の開幕までのオープン戦登板は、あと1試合。理想を貫くか、現実に即するか。次回登板、右腕はどんな形でマウンドに上がるのだろうか。

【動画】中日・松坂大輔がオープン戦2度目の登板 中日対西武のハイライト

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