「代打」でも厚い信頼 日ハムをじんわり変える鶴岡の大きくて温かい存在感
栗山監督が敵として見ていた鶴岡の打撃「ここ一番の勝負強さをものすごく持っていたから」
「もちろんキャッチャー心理で打席に入りましたよ。代打が出てきて、自分なら初球どう入ろうかなって」
◯1球目(外角低めチェンジアップ=ボール)「チェンジアップを狙っていました。だからバットが止まった。あれがストレートなら空振りしていましたね」
◯2球目(内角のチェンジアップ=ボール)「真っすぐで来るかなと思っていたら、チェンジアップでボール。この時点でもうフォアボール狙いです」
◯3球目(外角低め直球=ストライク)には手を出さなかった。
◯4球目(外角直球=中前打)「球種は問わず、甘かったら打ちにいこうと考えていました。チェンジアップをひっかけてゲッツーだけは嫌だなと気を付けていました」
完璧にとらえた当たりでチャンスを広げたこの場面。途中で四球を狙っていたとは意外だった。「いや、本当ですよ。俺が打って決める場面じゃないでしょ。あれが二、三塁ならまた違ったでしょうけど。謙虚な気持ちは大事です。どうせ打てない作戦です」と鶴岡は明るく笑い飛ばした。
栗山英樹は昨年12月に鶴岡入団が決まった際、こんな話をしていた。「苦労をして上り詰めた選手の底力みたいなものがある。(対戦相手として)ツルのバッティングがすごく嫌だった。ここ一番の勝負強さをものすごく持っていたから」。何度も修羅場をくぐり抜けてきた男の代打起用は再入団時から想定していたものだった。
今季代打ではここまで6打数2安打。代打での心構えを鶴岡に聞くと「今度、関本さんに聞いてみよう」と笑った後でこう答えた。「難しいですよね。パッと出て行って打てるわけがない。俺みたいに何も考えていない方がいいのかも」