日ハム、川崎、栃木…他競技の強豪3チームが実現した「勝者の経営」とは…
裾野の拡大を目指してサービスも多様化
――例えば、Jリーグはアカデミーの運営や裾野の部分を意識されていると思いますが、収益性の観点も大きなポイントなのでしょうか。
井川「やはり裾野をしっかり作ることはとても重要なので、そこは採算度外視というか。サッカーに触れたことがある、スポーツに触れたことのある人が、将来は何かのスポーツでファンになってくれて、試合を観に来てくれれば、それはすごくいいことです。プレーしたことがないスポーツを、大人になってから観に行くのは難しいと思います。選手を育成するのも大切ですけど、ファンを作ることも重要ですね」
藤本「そのような選手のプロモーション活動を積極的に行っているチームだと、スポーツ業界にいれば凄くわかります。飛び抜けている存在だと思います」
井川「川崎にはスポーツが根付かない過去の歴史がありまして、チームが発足したときも人気がなかった。お客さんは全然入らないし、関東にはいろんなスポーツも娯楽もある中で、どうしたら川崎フロンターレを選んでもらえるか。選手達と一緒に考えてきたのが今、形になっています。たまにやりすぎて、選手達から『一体どこを目指しているのかわからない』と言われるときもあります。それもクラブのカラーだと理解してもらって。川崎フロンターレに来たら『まずはバナナの被り物をかぶらないとだめだぞ』と(笑)」
藤本「リンク栃木ブレックスでも、いちごを被せたり(笑)いろいろとしていますね」
――Bリーグは物理的にもファンとの距離が近い。
藤本「バスケットの魅力を聞かれた時に『迫力』と『近さ』を説明することは多いですね。コートの近くにいると選手の話が聞こえますし、床のキュッキュッという独特のフロア音もあります。身体がぶつかり合う迫力を感じられるところも、野球やサッカーと違う魅力として伝えることが多いですね。チケットもコートに近い席が高価格で設定されていますけど、だいたい高い席から売れていきます。コアな人ほど、高いお金を払ってでも迫力を体感したいのかなと思います」
森野「プロ野球も、いろんな形でサービスを展開しています。今、よく言われる、様々なターゲット層に向けた物を、各球団がそれぞれ施策としています。地域に根付いたものは、短期的か中長期的に見るのかという話にもなるので、そうしたファン作りは各球団が取り組んでいます。それが遠回りだと思っても、意外と近道だったりもして。その辺りは同じようにして取り組んでいます」