無期限ファームのはずが10日で復調…ホークス武田が急遽先発で完封したワケ

復調の鍵は右腕の「角度」とメンタル面にあった

 武田の言う「腕の角度」。これによって生まれた効果はどこにあるのか。武田自身が言う。「角度がつくことで、打者のバットとの接点が少なくなるんです」。ボールの軌道に角度がつくことで、バットのスイング軌道と、ボールが通る軌道上での接点を限りなく少なくなる。武田曰く、上から来るボールに対して、その接点から少しでもズレると、ほとんどが内野ゴロになるのだという。

 この日、楽天打線の27アウトのうち、内野ゴロは15個。許した安打もゴロで野手の間を抜かれたものだった。「だいぶ上から叩けていました」といい、この日はボールがカット気味に変化していたが、「それは気にしていなかった。今日はとにかく目の前で叩くことを心がけていた」と、上から叩くことの1点に意識を集中させていた。

 さらには、精神面でも、ある変化があった。「これまではコースを狙って投げていた。変化球で逃げているというのは思っていた。ここで一度、考え方を変えてみようと思った」。そう思うようになったのも、自らの投げるボールに力が無く自信が持てなかったから。「思い切り投げて、ファウルを取ろうと思って投げていた」。フォームを取り戻し、ボールに力が戻ったことで、メンタル面も強気に攻めることができた。

 今季は5月5日のオリックス戦で完封勝利を挙げて今季初勝利。続く5月13日の日本ハム戦でも2戦連続で完封勝利をマークした。ところが、そこからは8試合に登板(1試合は中継ぎ登板)して1勝もできずに5連敗を喫した。それだけに武田自身もここからの課題は自覚している。「続かないのが今年なので……。今度こそ続けられるようにしたい」。まずは復調の第一歩。武田にとって大事になるのはこれからだ。

【動画】緊急先発のソフトバンク・武田翔太が相手打線を3安打に抑え完封勝利 29日の楽天戦をおさらい

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