接戦制した龍谷大平安の機動力と八戸学院光星のOPS…データで見る甲子園
愛工大名電の秋山はキレのあるスライダーで18.8%の空振り奪取
○投手指標
P/IP 1イニングあたりの投球数
WHIP 1イニングあたりで安打、四球でどれだけ走者を出したかの指標
GO/AO ゴロアウトの総数をフライアウトの総数で割って算出
【鳥取城北】
難波海斗(右)
8回2/3 投球数 147 P/IP 16.96 WHIP 1.50 GO/AO 2.3
【龍谷大平安】
小寺智也(右)
7回1/3 投球数 119 P/IP 16.23 WHIP 1.23 GO/AO 1.6
北村智紀 (左)
1回2/3 投球数 17 P/IP 10.20 WHIP 0.60 GO/AO 3.0
【八戸学院光星】
福山優希(右)
5回 投球数 98 P/IP 19.60 WHIP 2.00 GO/AO 1.2
成田太一(左)
2回 投球数 36 P/IP 18.00 WHIP 3.00 GO/AO 3.0
中村優惟(右)
2回 投球数 45 P/IP 15.00 WHIP 1.00 GO/AO 7.0
【明石商】
加田悠真(左)
1回1/3 投球数 32 P/IP 24.00 WHIP 3.75 GO/AO ∞
福谷航太(右)
6回1/3 投球数 115 P/IP 18.16 WHIP 1.42 GO/AO 3.0
中森俊介(右)
2回1/3 投球数 42 P/IP 18.00 WHIP 1.71 GO/AO 0.3
【報徳学園】
渡辺友哉(左)
5回0/3 投球数 73 P/IP 14.60 WHIP 2.00 GO/AO 0.5
木村勇仁(右)
4回 投球数 39 P/IP 9.75 WHIP 1.25 GO/AO 1.3
【聖光学院】
衛藤慎也(右)
9回 投球数 137 P/IP 15.22 WHIP 1.22 GO/AO 1.9
【白山】
岩田剛知(右)
7回 投球数 120 P/IP 17.14 WHIP 1.85 GO/AO 2.8
山本朔矢(右)
1回 投球数 16 P/IP 16.00 WHIP 2.00 GO/AO 1.0
【愛工大名電】
室田祥吾(左)
4回 投球数 52 P/IP 13.00 WHIP 1.00 GO/AO 1.3
秋山凌祐(右)
5回 投球数 73 P/IP 14.60 WHIP 0.60 GO/AO 1.3
愛工大名電の2番手・秋山投手が投じるスライダーのZone%は31.3%。つまり3球に1球しかストライクゾーンにいきません。これはストライクゾーンからボールゾーンにスライドするキレの良さがある証拠と言ってもいいでしょう。このキレのあるスライダーで18.8%の空振りを奪取しています。対戦した岩田投手もスライダーで15.6%の空振りをとっており、2回以降の好投の一因となっています。
聖光学院の衛藤投手はストレートの威力が増し、平均急速143.2キロ、最高は自己ベストの146キロをマーク。また最終回の平均も142.9キロと球速をキープするスタミナも見せました。さらにストレートのZone%が70.6%と抜群のコントロールも兼ね備えてました。直球でカウントを整え、フォークで23.8%の空振りを取り抑えるというピッチングで報徳学園打線に対抗しましたが、打線の援護及ばず。12年連続甲子園出場の強豪が姿を消すことになりました。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。