スライダー増やした済美・山口、食らいついた星稜打線…データで見る甲子園
慶応は打率とOPSで上回るも、得点は高知商が2倍に
◇高知商 12-6 慶応
◯攻撃指標
【高知商】
打率.308 OPS .810 wOBA .406 P/PA 3.98
O-swing% 34.8% (前試合 25.0%)
Z-swing% 67.5% (前試合 71.7%)
Z-contact% 94.6% (前試合 96.2%)
【慶応】
打率.389 OPS. 910 wOBA .393 P/PA 3.10
O-swing% 25.5% (前試合 24.1%)
Z-swing% 84.8% (前試合 49.3%)
Z-contact% 89.3% (前試合 91.2%)
◯高知商・北代真二郎投手の各指標
打者39 投球数121 WHIP 1.78
▼配給割合
高め 28.9%
中 19.0%
低め 52.1%
2試合通算 WHIP 1.89 GO/AO 0.89
慶応のZ-swing%は初戦に比べて大幅に増加。初戦の中越戦ではじっくりボールを見るという攻撃方針でしたが、高知商戦では積極的に打ちに行く姿勢に。それがP/IPにも、中越戦4.0→高知商戦3.1、と表れています。
打率、OPSでは慶応が高知商を上回ったのですが、得点は慶応が高知商の半分で終わってしまいました。その明暗を分けたのは序盤での攻撃に尽きるでしょう。1回裏の慶応は7者連続で出塁(5安打2四死球)したにも関わらず、このイニング2得点で終了。ヒットでの走塁ミスによって2つのアウトを献上してしまいました。2回表に高知商は長短打合わせて4安打、1四球に加え、失策2、三振振り逃げなど慶応守備のミスも重なり7得点。4回にも4点を追加し勝利を確実なものとするリードを奪いました。
高知商・北代投手はスライダー、チェンジアップを効果的に使い、フライを打ち上げさせてアウトをとる方法で凡打を積み重ねています。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。