元メジャー右腕が提言する、これからの高校野球「選手が燃え尽きないように」

藪氏が気付いた吉田のクセとは…

 超高校級と絶賛される吉田のストレートに対し、大阪桐蔭打線は全く振り負けることがなかった。「もしかしたら大阪桐蔭は気が付いていたかもしれませんね」と言う藪氏が指摘するのは、マウンド上で吉田が見せる“クセ”だった。

「吉田君は変化球に比べ、ストレートを投げる時の方が、投球間隔を長く取る傾向があります。僕が見る限り、9割は当たっていましたね。大阪桐蔭はデータ分析班がいますから、大会5試合分のデータがあれば、そのクセを見破っていた可能性はあると思います。元々強打線を誇るチームですから、球種が分かれば思い切ったバッティングができる。5回以降は制球が甘くなった部分もありますが、吉田君の気持ちも切れて、よりクセが分かりやすくなっていたのかもしれません」

 吉田は5回にも6点を失い、6回から三塁を守っていた打川にマウンドを譲り、ライトの守備に就いた。藪氏が「本当は4回で代えてあげてほしかった」と言うのも、気持ちが切れた状態で投げた時ほど怪我のリスクが高くなるからだ。

「吉田君は十分過ぎる球数を投げていましたし、顔つきが変わった時点で本当は代えてほしかったですね。試合後、監督が『最後まで投げさせてあげたかった』と言っていましたが、彼の将来を考えたら投げさせなかったのは正解。もっと早く代えても良かったくらいです」

 こちらも準決勝から連投となった大阪桐蔭のエース柿木は、打線の大量援護もあり、吉田とは対照的に尻上がりに状態を上げた。5回と6回の2イニングスは、合わせて15球で6つのアウトを奪取。準決勝に続き、完投勝利となったが、要した球数はわずか112球だった。

「選手の将来を考えながら戦える場になっていくといい」

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