「スーツで満員電車に…」オリックスのドラ3福田を支える社会人時代の3年間
貴重な経験を積んだ社会人時代「あいさつの仕方や電話の取り方なども勉強になりました」
テレビで見るプロ野球選手は、体のブレがなく、スイングが強い。そこが自分には足りない部分だと感じており、バランスボールに片足で乗るなどして体幹を強化し、今まで以上にウエイトトレーニングに取り組んだ。そして、自身が「一番伸びた時期」だと話す3年目の都市対抗で首位打者を獲得。チームの優勝に貢献し、最優秀選手賞にあたる橋戸賞を受賞した。
「とてもいい精神状態で大会に挑めました。それまでは、ヒットを欲しがって気負いすぎていましたが、3年目に考え方が変わりました。打とうとせずに、やるべきことを決めてしっかり準備をして試合に臨んだら、リラックスして打席に入れました」
3年間、体を強くするためのトレーニングに黙々と取り組んだ。積み重ねてきたことに自信を持って臨んだ結果が、最高の成績に結びついた。都市対抗後には、侍ジャパン社会人日本代表にも選出され、アジア選手権優勝を経験。そして、ドラフト会議でオリックスから3位指名を受け、念願のプロ入りを掴んだ。
プロ入り後も、筋力の強化に加え、怪我をしない体づくりに力を入れている。169センチとプロ野球選手としては小柄な体格だが「ずっとこの体なので。180センチあって、いきなり小さくなったら悩むかもしれないですけど」と笑い、苦にしている様子はない。
「プロでやっていくには、怪我をしないことが大事だと思います。なので、常に自分の体と相談し、ストレッチを欠かさずやっています。あとは栄養を考えながらたくさんご飯を食べて、しっかり睡眠をとる。休みの日はたまに実家に帰って、気持ちをリラックスさせています」
プロでも通用する強い体づくりに加え、精神面でも成長した社会人時代だが、それ以外でも貴重な経験ができた3年間だったと振り返る。
「スーツを着て満員電車に乗って通勤したことは、いい経験になりました。プロ野球選手でも、会社に行ったことがない人はたくさんいますから。あいさつの仕方や電話の取り方なども勉強になりました。会社の中って、どうなっているかわからないじゃないですか。『釣りバカ日誌に出てくるような感じかな』って思っていたら、実際そんな感じでした(笑)。部署の人たちとも仲が良く、飲みに行ったりしましたが、野球以外の人たちと関わりを持てたことは、すごくいい思い出です」
どんな時でも諦めることなく気持ちを切り替え、プロで通用する体づくりに取り組んだ3年間。169センチの小さな体でレギュラーを狙う26歳のルーキーは、3年間の経験を糧にプロの世界に挑んでいる。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)