印象深い中日戦での3度の逆転劇 9回の得点力際立つヤクルト、データも傑出
ヤクルトは9回に6人以上つなげて攻撃する割合が3分の1
◯9回ビハインド時の攻撃人数
ヤクルト
3人24.6% 4人21.7% 5人20.3% 6人以上33.3%
広島
3人36.7% 4人34.7% 5人14.7% 6人以上14.3%
阪神
3人34.4% 4人28.1% 5人18.8% 6人以上18.8%
DeNA
3人39.4% 4人35.2% 5人11.3% 6人以上14.1%
中日
3人43.3% 4人23.9% 5人17.9% 6人以上14.9%
巨人
3人43.5% 4人24.2% 5人17.7% 6人以上14.5%
ヤクルトは3人で終わる割合が少なく、6人以上つなげて攻撃する割合が3分の1にもなっているのがわかります。他球団が3人であっさりと攻撃を終える割合が1/3以上であるのに比べ、とても対照的なデータとなっています。
ちなみに9回ビハインド時、どの打順で始まるかを示すデータは表の通りです。
ヤクルトは打順の巡り合わせで9回に青木宣親、山田哲人、バレンティンといった強打者が配置されている上位打線に回る確率が高くなっていることがわかります。また9番スタートが14.5%ですが、ここに代打が入り出塁すると、ランナーをおいて、上位打線がランナーを迎え入れるというパターンでの得点も目立っています。
打順の巡り合わせに関する考察に関してはまだ議論の余地はありますが、ヤクルトの9回における粘り強さがデータで示されました。
ただ、9回の攻撃を迎えるということはホームゲームの場合、リードされている(もしくは同点)ということの表れなので、本来なら9回の攻撃は少ない方が良いということになります。ちなみに9回をリードされて迎えた回数は
広島 49回
巨人 62回
阪神 64回
中日 67回
ヤクルト 69回
DeNA 71回
となっています。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。