「我が道を行く」―広島菊池に単独インタビュー、名手が明かす“守備の流儀”
野村、石井…プロ入り後、名手に叩き込まれた守備の基本
アストロズのホセ・アルトゥーべ、シアトル・マリナーズのロビンソン・カノらMLBの名二塁手に重なる菊池のトリッキーな動きだが、メジャーリーガーのグラブさばきを学生時代に研究したことはなかったという。
「YouTubeでメジャーの選手を研究? ないですないです、高校の頃は携帯禁止でしたし(笑)。大学行った時もそんなお金あるわけじゃないので、お金も使えない。今みたいにLINEもあるわけじゃないですし。映像を見る機会と言ったら、『珍プレー好プレー』ぐらいでしたね。自由にやらせてもらったっていうのが、僕の中でハマった。自由にやらせてもらえるまで時間はかかりましたけども、そこも信頼関係がなければ、やらせてもらえないと思いますし、うまく(関係を)築いたからだと思います」
華麗な守備の手本はなかった。自ら磨き上げたスタイルが、偶然メジャー流に合致したということだ。
2012年のプロ入り後には、ショートからセカンドにコンバートされた。そして、正面で打球を受けるという、守備の基本にもう一度立ち返ることになった。
「ルーキーの頃は、石井琢朗さんや野村謙二郎さんが基本練習を積んでくれました。基本ができていなければボールは捕れないということで、正面で捕ってステップして投げるという練習からスタートしました。正面のボールとか好きじゃなかったんですけどね(笑)。
ずっと反復練習をしていましたが、転機は3年目辺りに訪れました。試合では『アウトになればいいんだ』っていう考え方になりました。でも、もっと遡ると、高校時代は横から投げちゃダメとか、絶対正面で取れという教えを受けていました。(基本と自由が)交互に来ているのかな、という感じはあります。
でも結局、そういうプレーができるのは基本ができているから。捕る感覚だったりが養えないので、基本があっての今の僕なのかなと思い返しています」
菊池はこう振り返った。中京学院大では遊撃手として活躍した。プロでは当時の野村監督や石井内野守備走塁コーチに、基本の重要さを叩き込まれた。それでも、自分の型を築いた遊撃手からの転身は簡単ではなかったという。