育成中心か、即戦力かはっきり分かれる方針…過去5年のドラフト戦略【パ編】

高校生のスター選手を好む楽天、とにかく即戦力補強のオリックス

オリックス 高校生17人(育成5人)大学生5人(育成4人)社会人21人(育成0人)その他1人(育成3人)

 この5年での社会人の指名人数は12球団最多。とにかく即戦力の“1本釣り”を好み、過去5年の1位指名は、2013年吉田一将(JR東日本)、2016年山岡泰輔(東京ガス)、2017年田嶋大樹(JR東日本)と社会人の即戦力投手が多く、14年、15年も大学生の単独指名。高校生の1位指名は2010年の後藤駿太(前橋商高)以来ない。高校生の指名も17人と決して少なくはなく、今年は2016年4位の山本由伸(都城高)がセットアッパーとして活躍し、若い芽も出てきている。ただ、上位指名が社会人と大学生に偏る傾向があるので、今年は高校生の上位指名を期待したいところだ。

ロッテ 高校生11人(育成2人)大学生8人(育成2人)社会人11人(育成0人)その他0人(育成3人)

 それほど目立った偏りがない指名傾向。どの世代もそれなりに戦力にはなっているが、突出した才能を見せる選手が現れていない。しかし、今年は井上晴哉(2013年5位=日本生命)が長距離砲として開花するきっかけをつかみ、中村奨吾(2014年1位=早大)もリーグ2位の39盗塁と主力に育ちつつある。昨年1位の安田尚憲(履正社高)も期待は高く、高校、大学、社会人にかかわらず、伸びしろのある選手を上位で獲得したいところだ。

楽天 高校生13人(育成4人)大学生14人(育成4人)社会人9人(育成2人)その他4人(育成2人)
 指名人数からは大学生を好むように思えるが、過去5年の1位指名はすべて高校生だ。昨年は清宮、村上宗隆(九州学院→ヤクルト1位)を外して大学生の近藤弘樹(岡山商大)を指名したが、2013年の松井裕樹(桐光学園)、2014年安楽智大(済美高)、2015年平沢大河(仙台育英→ロッテ1位)を外してオコエ瑠偉(関東一高)、2016年は藤平尚真(横浜高)を指名。甲子園で活躍したスター選手を好むだけに、根尾、藤原と高校のスター選手が揃う今年は、どこからでもいけるおあつらえ向きのドラフトだろう。

 セに比べ、パは育成と即戦力に志向がくっきり分かれ、各球団の意図、ドラフト戦略が明確だ。特に育成型のソフトバンク、日本ハム、上位で高校生を指名する楽天にとって、今年のドラフトは将来の主力を獲得する絶好機となるだろう。(所属はすべて当時)

(Full-Count編集部)

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