三塁打の速さで見るパのスピード王5傑 フレッシュな顔ぶれを抑えた最速王は?
飛び跳ねているようなホークス牧原の走り
2位源田の10秒71を上回る10秒66を記録し、パ・リーグ唯一となる10秒6台で三塁打の頂点を極めたのが、今年の夏場以降に急成長を遂げた牧原大成内野手(ソフトバンク)だ。
昨年までの牧原は、ファームから昇格しても1軍の壁が高く立ちはだかり、持ち味のスピードを生かす機会に恵まれなかった。しかし、今年は7月にセカンドで起用されるようになると、打撃で結果を残して定位置をキープ。ダイヤモンドを所狭しと駆け巡り、その潜在能力を解放させた。
牧原のランニングは、一歩一歩飛び跳ねているかのようで、滞空時間が長く感じられる。このバネ仕掛けのような跳躍力が、スピードの源だろう。また、レギュラー定着に向けてがむしゃらにプレーしていたことも追い風になったに違いない。全力で走るひたむきさが、タイムとなって表れたと言えそうだ。
それだけに、9月27日の西武戦で足首を負傷し、戦線離脱したことが惜しまれる。しっかりと故障を治して、来年、またパ・リーグトップのスピードで三塁にたどり着く姿を見せてほしい。
以上が今シーズンの三塁到達タイムトップ5だが、興味深いのは、今季14本の三塁打を放ってリーグトップだった上林誠知外野手(ソフトバンク)がランキング外だったという点だ。理由があるとすれば、三塁打となった打球にある可能性が考えられる。上林の三塁打は、右中間を深々と破る大飛球が多かった。そのため外野からの返球が届く頃には楽々と三塁に到達しており、全力疾走する必要がなかったのかもしれない。
また、今年44盗塁で自身3度目の盗塁王に輝いた西川遥輝外野手(日本ハム)もランク外。西川の場合、三塁打を打った場面を確認してみると、スイングした後、わずかながら打球の行方を見てから走り出すことがあり、その一瞬がタイムロスになったようだ。
三塁到達タイムは、打ってからすぐに全力疾走する売り出し中の選手は上位に入りやすいと言えそうだ。そうなると、これは“今が旬”の俊足選手を見出す1つの指標になるのかもしれない。
来年はまた新しい選手がトップ5に並ぶ可能性がある。どんな選手がランクインするのか、今から楽しみだ。