通算823勝の名将が“台湾の大王”王柏融を語る 「必ず新しい環境に適応できる」
名将は「交流」から学び続け、さらなる交流を望む
台湾球界のニュースターである王柏融を指導し、そして今年8月までシーズン打率4割を維持した20歳の廖健富(その後ケガで離脱)など、台湾球界を席巻、あるいは今後担う選手を育て上げた洪監督だが、名将として「学び」を止めることはない。
以前は千葉ロッテの秋季キャンプに参加し、アメリカのトレーニングセンターを訪問したり、MLBシアトル・マリナーズのキャンプ地で研修を受けたりしたこともあるなど、精力的に各国を飛び回っているという。すべては「台湾野球と、日本やアメリカの野球とは、まだ差がある。学んだことを台湾に持ち帰り、台湾野球の発展につなげたい」という思いからだ。
特に「日本では、投手育成に関する話やチーム哲学などの話を聞く。アメリカでは、打撃や作戦に関する考え方を学ぶ」という。中でも伊東氏と親交があり、チームをいかに率いていくかなどのテーマについても意見を交わしている。
また、CPBLの中でも最も頻繁にNPBの球団と交流し、重視しているLamigoの監督であることも、その学びを促進させている。かつては国際大会に限られた交流だったが、今回の千葉ロッテとの対戦のように単一チームとの交流も増え、学びの機会は増えている。これらは「双方の交流を通じ、台湾野球と日本野球の実力差を縮めたい」という洪監督の悲願につながる。
もちろん一方的に学ぶだけでなく、日本の野球ファンや関係者に「台湾プロ野球について知ってもらいたい」という思いもある。実際、5月のイベントで球場を訪れたパ・リーグ球団スタッフも、球場の盛り上げ方など、さまざまなことを得られたと語っていたが、洪監督も「日本の野球の良い部分、技術、文化、そして精神的な部分まで学ぼうと考えているが、もちろん台湾にもいい面はあるので、日本の皆さんが台湾から学んでもいい」という。
「(交流は)双方の野球界にプラス面があると思っている。今後、日本との交流がさらに盛んになることを期待している」と、台湾一の名将は両国のよき未来を見据えている。
取材協力・通訳:駒田 英
(「パ・リーグ インサイト」上野友輔)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)