弱点を的確に補う浅村&ドラ1辰己の獲得 データで今季を振り返る【楽天編】

セカンドの攻撃力が大幅マイナス、外野手も深刻なマイナス

 次に、楽天の各ポジションの得点力が、両リーグ平均に比べてどれだけ優れているか(もしくは劣っているか)をグラフで示して見ました。そして、その弱点をドラフトでどのように補って見たのかを検証してみます。

楽天のポジション別強弱
楽天のポジション別強弱

 グラフは、野手はポジションごとのwRAA、投手はRSAAを表しており、赤ならプラスで平均より高く、青ならマイナスで平均より低いことになります。

 先発投手のRSAAを除いては、すべてのポジションでマイナス評価となっています。特にセカンドの攻撃力が大きなマイナスとなっていました。さらには外野手の攻撃力のマイナスも深刻な状況です。楽天はまず外野手の攻撃力不足を打開すべく、ドラフトでは1位に外野手を指名しました。大阪桐蔭高校の藤原恭大はくじで外しましたが、立命館大学の辰己涼介をくじで引き当て、当面の外野手の攻撃力不足を補える可能性の高い指名に成功しました。また7位では東都大学リーグに属する立正大学の小郷裕哉を指名しています。

 辰巳はリーグ通算122安打(関西大学リーグでの最高記録は田口壮の123安打)、打率.324、OPS.864の巧打もさることながら、一塁到達タイムが3.78秒と日本ハム・西川遥輝のタイムに相当するほどの俊足の持ち主。また小郷も東都リーグで通算5本の三塁打を放つなどこちらも俊足が武器。初年度から島内、岡島、オコエとのポジション争いができる逸材として期待が持てる補強となったようです。

 そして、FAで西武から浅村を獲得することに成功しました。これは、今季大きなマイナスとなっていた二塁手の攻撃力のマイナスを埋めて余りある戦力補強となりそうです。

 田中、浅村、島内、ウィーラー、銀次、内田の6人を軸に、ここに茂木、岡島、オコエ、そしてドラフト獲得の辰巳、小郷が絡めば、今季苦しんだ得点力の改善が見込めそうです。また足の速い若手外野手の補強は、フライボールレボリューションで増加傾向にある外野への飛球に対処できる守備布陣としても機能しそうです。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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