阪神は外国人補強が上手い? 近年はイマイチも、球史に名を残す歴代助っ人
バースは2年連続3冠王、マートンはイチロー抜く214安打
その後も阪神には多くの外国人選手がやってきた。爪楊枝を咥えて打席に立ったウィリー・カークランド、ハッスルプレーで人気になったマイク・ラインバックなど、個性的な選手が多かったが、なんと言っても強烈な印象を残したのはランディ・バース。2年連続3冠王、1985年の21年ぶりの優勝の立役者となった。NPBを通じて史上最強の外国人打者という評価もある。
以後も外国人選手の系譜は続いたが、平成に入ってからはマット・マートンの活躍が目覚ましい。カブス時代は1試合最多二塁打のメジャー記録を作り、若手打者として期待されていたが、阪神に入団。相手投手について個別のメモを取るなど研究熱心で、1年目の2010年にイチローの210安打を抜く214安打のNPB記録(当時)を作るなど、安打製造機として活躍した。阪神の外国人では唯一1000本安打を記録している。
投手陣では、昭和40年代にジーン・バッキーが登場。小山正明、村山実、江夏豊らと先発投手陣を形成し、アメリカ出身の外国人ではジョー・スタンカと並ぶ100勝を挙げた。ジェフ・ウィリアムスは21世紀に入って「JFK」という勝利の方程式を担う救援投手として活躍した。
さらに2010年、マートンとともに阪神に入団したメッセンジャーは毎年200イニング前後を投げる抜群のスタミナで、阪神投手陣の屋台骨を背負ってきた。2016年に入団したドリスとマテオはともにドミニカ共和国出身。救援投手として活躍。
こうしてみると、実績のある大物選手を連れてくる巨人とは対照的に、阪神は無名の外国人選手を掘り出して活用するケースが多い。バースもメッセンジャーもメジャー実績はほとんどない。バッキーに至っては3Aが最高だ。スカウト陣と外国人選手の扱いに慣れた指導者の功績ともいえるだろう。
しかし、マートンが退団してから阪神の新外国人打者は1年ごとに入れ替わり、活躍できていない。また投手もメッセンジャー、ドリス、マテオ以降は定着しておらず、今オフにはマテオも自由契約となった。果たして来季は、活躍する外国人選手が出てくるだろうか?
(広尾晃 / Koh Hiroo)