オリ助っ人左腕が語る“違い” 自分を分析する米国、相手を分析する日本
日米の選手のパワー差が生む野球スタイルの違い
オリックスでの1シーズン目を終え、帰国中のカナダ出身左腕、アンドリュー・アルバース投手が、地元ラジオ局「スポーツネット」の番組に出演。日本の野球事情や、生活に加えて、日本野球におけるデータの使い方についても語っている。
今や、MLBでは野球の高度なデータ化が進み、2017年のワールドシリーズ王者・アストロズの強力打線に象徴される、「打球の角度を最適化し、フライボールの飛距離を出すことで長打を生み出す」いわゆるフライボール革命が起こっている。MLBのデータ部門「スタットキャスト」は打球の角度、飛距離、速度などを瞬時に分析し、そのデータはテレビ中継の画像に表示される。また、強打者の打球方向を分析し、極端なシフトを敷くことも珍しくない。
日本にもその波は次第に押し寄せてきてはいるが、いまだに「強いゴロで野手の間を抜く」「アッパースイングで打ち上げるよりレベル、ダウンスイング」といった思想は根強い。日米の野球を見てきたアルバースは、日米のデータの使い方をどう見ているのだろうか。
「僕が知る限りでは、(データ分析は)MLBほどは進んでいません。広まりつつありますし、もちろん分析はしていますが、MLBほど選手が大きくて力強いわけではないので、発射角については少し異なります。発射角はパワーのある打者には有効です。日本ではボールをインプレーにする俊足の選手が多く、守備にプレッシャーを与えます。彼らは低い打球、ライナーを打ちます。そうした点が異なります」
長打を狙ってビッグイニングを作りにいくのではなく、走塁をはじめ、バントやエンドランなど機動力も使って相手を揺さぶっていくのがもともとの日本野球の身上。中には、フライボールで打球角度を上げ、MLB並みのパワーを見せているソフトバンク・柳田悠岐のような打者も出てきているが、基本的にナチュラルパワーが米国選手とは違う日本では、やはり「スモール・ベースボール」を織り交ぜた攻めが重視される傾向は根強い。