阪神大震災から24年 西武栗山、社会貢献活動のキッカケとなった24年前の記憶

「栗山巧杯」の開催だけでなく、小児がん患者の支援活動も…

 栗山は「栗山巧杯」の他にも、東日本大震災の復興支援、小児がんの子どもとその家族の支援といった活動も精力的に行ってきた。特に小児がんの子どもたちを支援するようになった理由について、栗山選手は次のように述べている。

「いろんなところで困っている人がいる中で、小児がんと聞くと『治らないんじゃないか』とすごくネガティブな印象を持たれてしまう。実際に苦しんでいる子どもたちもいますが、現在は医学の進歩もあって、100%治らない病気ではなくなってきているんです。小児がんの子どもたちに前向きになってほしいし、僕たちが野球を通じて前向きになれるきっかけを与えられればという想いでサポートさせていただいています。同時に、小児がんについて理解を深めてもらえる機会を作れたら良いなと思っています」。

 2014年には、プロ野球関係者の社会貢献活動を表彰する「ゴールデンスピリット賞」を受賞している栗山。「栗山巧杯」や小児がんの子どもたちを支援する活動を始めた当初は「今となっては変な話ですが、僕の方が身構えてしまって、どういう風に対応してあげたら良いか考えてしまう部分がありました」と心境を語る。

 活動を進めていくこによって「『至って普通に接していけばいいんだ』と、活動する中で自然と変わっていった」と感じた栗山。一方で、活動を始めた頃から変わらないものもある。それは「自分の今やれること、してあげられることを、たとえ薄くても長くやっていきたい」という想いだ。

 厳しいプロ野球の世界で成功を収めながら、多くの子どもたちに寄り添う栗山。その活動の根本にあるのは、24年前、故郷が傷ついているときに届けられた筆記用具。名前も顔も知らない人たちからのあたたかい支援だ。今後の活動について、栗山選手は「支援活動も『栗山巧杯』も、継続していくことが非常に大事だと思います」と言う。

「もし『栗山巧杯』を継続できなくなったとしても、子どもたちにとって思い出深い大会になって、これから野球を続ける人もそうでない人も、『栗山巧杯』で戦ったこと、僕が行く決勝戦まで残ったということが、もっと思い出深いことになってくれたらうれしいですし、これから成長していく中でのイベントになってくれたらと。なってくれなくてもいいですけど、なってくれたらうれしいなあ、くらいの感じです(笑)」。

 1月17日。今年も、忘れられないこの日が来た。また気持ちを新たにして、栗山はこういった活動を続けていくのだろう。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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